御朱印

円覚寺百観音めぐり(5)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

日曜日(15日)の「大本山円覚寺百観音霊場」巡りの続き。
札所7~9番は円覚寺山外の札所になる。

 

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札所7番 松岡山東慶寺

円覚寺の総門を出て、JR横須賀線の踏切を渡ると、札所7番の東慶寺はすぐそこ。「縁切り寺」と書いた方が分かりやすいだろうか。そう、現在は私がかつて暮らしていた諏訪市に居を構える、あの歌手のヒットソングのタイトルになっているお寺だ(はっきり書きたいのだが某著作権管理団体への許諾申請が烈しく面倒臭いので)。但し現在は男僧のお寺である。

東慶寺の本尊は釈迦如来で、札所本尊は聖観世音菩薩。私が訪れたときは宝物殿に当たる「松ヶ岡宝蔵」で一般公開されていた(5月末まで)。観音さまの横には、きちんと御詠歌入りの鎌倉三十三観音の扁額が掲げられていた。

境内はお庭がきれい。ここは「東国花の寺」の札所にもなっていて、四季それぞれにお花が楽しめる。入り口の脇にあるヒガンザクラがもう咲き始めていた。今度はイワタバコや花菖蒲の時期に、花の寺巡礼でお参りしよう。 境内の茶室では、若い女性が集まりお茶会を催していた。
(神奈川県鎌倉市山ノ内1367)
※東慶寺公式ホームページはこちら。(公式ブログもあり)

 

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札所8番 金宝山浄智寺

東慶寺を出て、鎌倉街道を市街地方向に少し進み、案内板に従ってJR横須賀線の踏切の手前で右折。だらだら坂を上っていくと、程なく札所8番の浄智寺に着く。

このお寺の本尊は阿弥陀如来など3体で、札所本尊は聖観世音菩薩。観音さまは本堂の裏手の一角を仕切ってお祀りされている。こちらのお寺も鎌倉三十三観音の札所になっていて、観音堂には御詠歌入りの扁額が掛かっている。

山門を入ったときの印象とは裏腹に、このお寺の境内は結構広い。源氏山に食い込んだ谷がそれだけ深いということか。拝観コースは境内の縁をなぞるように造られているので、結構歩き甲斐がある。一番奥まったところにはシイタケの原木がたくさん並べてあって、肉厚でいい感じのシイタケが何本も生えているw 途中には布袋様も祀ってあって、掲示の通りにお腹を撫ぜてきたが、御利益はあるだろうか。
(神奈川県鎌倉市山ノ内1402)

 

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札所9番 錦屏山瑞泉寺

鎌倉市内の札所では、9番の瑞泉寺だけがほかの札所と離れている。鎌倉宮からさらに山側に15分ほど歩いたところにある。地図で見ると坂東三十三観音や鎌倉三十三観音の発願札所になっている杉本寺(杉本観音)からそう遠くない。

札所本尊は千手観世音菩薩。本堂裏手にある崖を利用した「石庭」は必見。お参りの後にゆっくり見たかったのだが、訪れた時はあいにく某県の「歩け歩けの会」が団体参拝中で、急き立てられるようにお庭を後にした。このご一行は参拝マナーも決して褒められたものではなく、結構なお年の人ばかりだったのにちょっと残念。
(神奈川県鎌倉市二階堂710)

円覚寺百観音めぐり(4)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

鎌倉の円覚寺百観音巡りの続き。

 

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札所4番 佛日庵

札所4番の佛日庵は、続燈庵から少し参道を下ったところにある。円覚寺の塔頭では数少ない、外来者ウエルカムのお寺だ。こちらは、円覚寺のとは別に拝観料がかかる。拝観だけの料金とお抹茶付き料金の2本立てで、小腹も空いていたし後者を選び、木戸で500円を支払う。

佛日庵は、円覚寺を開基した北条時宗の廟所として知られる。札所本尊の十一面観世音菩薩坐像は、本堂ではなく廟所にお祀りされている。お抹茶を頂いてから心行くまでお参りする。

こちらは、写経を納めないとお参りすらできないお寺があるなど、「難所」が多いことで知られる鎌倉三十三観音の結願札所にもなっている。朱印所で私のすぐ後ろに並んだ中年カップルは、「結願です」とにこやかに納経所を預かる女性に声を掛けていた。私も「おめでとうございます」と声を掛ける。あちらは、私が手にしていた納経帳に興味があるようで、朱印所で何か聞いていた。
(佛日庵 神奈川県鎌倉市山ノ内434)

 

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札所5番 南山寿徳庵

札所5番の寿徳庵は、佛日庵からさらに少し参道を下り、札所の看板を目印に急な石段を登ったところにある。こちらは札所3番と同じく、「寺用の方以外お断り」の掲示があるのだが、後ろがいやに騒がしいと思って振り返ると、日本人ガイド?に引率された外国人グループが後をついてくる。嫌な予感がしたが、件のグループは案の定、山門のところで御住職に追い返されていた。日本人がついているんだから、注意くらいすれば良いのだが、ひょっとして(以下自粛)。私は百観音参りの来意を伝えると中に入れて頂け、「本堂でお参りしてください」とのことで、お言葉に甘える。

こちらは、戦国の世に当地周辺を治めていた三浦一族との関係が深いお寺。札所本尊は室町時代の作とされる聖観世音菩薩。両手で長い蓮の花を持つ仕草が印象的だ。
(寿徳庵 神奈川県鎌倉市山ノ内444)

 

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札所6番 龍隠庵

結願札所を別にして円覚寺山内での打ち納めとなる札所6番の龍隠庵は、札所1番の横の小道を入って、九十九折の石段を登った小高い場所にある。

石段を登りきると、まさしく庵という感じの建物の隅に観音さまが安置されていて、その前には茣蓙が敷かれていて、お茶のお接待もある。茣蓙に上がってお参りしても構わないかと思って、お寺の人を呼ぼうと鐘を鳴らすと程なく人の良さそうな作務衣姿の若い僧侶の方が出てきた。百観音参りの来意を告げると、こちらでも「本堂でお参りしてください」とのことで少し離れた本堂に案内される。

札所本尊の聖観世音菩薩は丈が30~40センチほどだろうか。わざわざお灯明をつけて下さり、焼香してから読経する。読経が終わって御朱印が出来上がるのを待っていると、先ほどの若い僧侶の方が、お抹茶とお菓子を持ってきて下さった。僅かな納経代だけで申し訳ない…と思いながら頂き、いろいろと話が弾む。程なく御住職もお見えになり、百観音参りを始めた経緯をお話しして、いろいろとアドバイスを頂戴する。まだ回っていない札所でも無住のところなど「難所」があるようだ。「頑張って回りなさい」と励ましの言葉も掛けていただき、ありがたい限り。
あまりのお接待に、お寺を後にするとき賽銭箱の中に気持ちばかりの金額を改めて入れる。
こちらはいろいろな催しもあるようなので、また来たい。本当にいいお寺である。
(龍隠庵 神奈川県鎌倉市山ノ内450)

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円覚寺山外にある札所7~9番は、別稿で。

円覚寺百観音霊場めぐり(3)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場

昨日の土曜日から空模様は一転して、雲一つない青空が広がる絶好のお出かけ日和。「大本山円覚寺百観音霊場」巡りの続きに出掛ける。

 

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札所1番 瑞鹿山円覚寺

円覚寺百観音巡礼記のその1に書いた通りの事情で、発願寺はわが家から近い騎西町の龍興寺さんに定めたのだが、1番札所をいつまでも放っておくのは気分が良くない。天気も良いことだし、鎌倉まで遠出をしてみたw

JR北鎌倉駅の下りホーム先端にある臨時改札を出ると、程なく円覚寺の総門に着く。ここで拝観料300円也を払って、境内へ。木戸のすぐ先に朱印所がある。話を聞くと件数が多く結構時間が掛かるようなので、先に納経帳を預けてから札所1番にお参りする。

こちらの札所本尊は大慈大悲観世音菩薩。お寺の本尊である釈迦如来を祀る仏殿のすぐそばにある、「選佛場」に観音さまが祀られている。選佛場は僧侶が座禅を組むためのお堂。写真の通り結構な人出で、他の人の邪魔にならぬように通路の一番端で読経する。観光地化されているし致し方ないのだろうが、手も合わせずに観音さまだけ「見仏」して帰る人の多いこと…数珠を手に読経する私を怪訝な表情で見る人もいるくらいだ…怪しい風体なのは認めざるを得ないがねwww
(円覚寺 神奈川県鎌倉市山ノ内409)
※円覚寺ホームページはこちら

 

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札所2番 伝衣山黄梅院

札所2~6番は、円覚寺山内にある塔頭寺院。札所2番の黄梅院は、その中でも一番奥まった場所にある。歩く距離も高低差も結構あり、円覚寺の広さを実感。

黄梅院の札所本尊は千手観世音菩薩と聖観世音菩薩の2体。いずれも本堂に安置されていて通常は拝むことができないようだが、「お前立ち」ということだろうか、境内にある観音堂には別の聖観音がお祀りされている。
札所の看板はあるのだが、納経所を示す類のものがない。本堂の玄関を訪ねたら、こちらで正解だった。「よくお参りです」と声を掛けていただき、御朱印を頂けた。

別の札所で聞いたのだが、黄梅院の御住職は山内の要職も務められているようで、お留守のことが多いらしい。「一度で御朱印を頂けるとは運がいいですよ」とのことだが、これも観音さまの御加護だろうか。
(黄梅院 神奈川県鎌倉市山ノ内428)

 

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札所3番 万富山続燈庵

黄梅院から参道を少し下りて、札所の看板を目印に石段を上がったところに札所3番の続燈庵がある。
石段の横には「寺用の方以外はお断り」の掲示があるが、「百観音巡りは大丈夫だろう」と思って石段を上がる。本堂のガラス戸が開いていて観音さまを拝めたので、外から読経して本堂の玄関で来意を告げても、人の気配がしない。しばらくすると、本堂奥の墓地などがあるところから「お参りですか?」と作業服姿の男性がこちらに声を掛けてくれる。その方が御住職だった。

本堂に上がってお参りしてほしいとのことで、御住職の仕事を止めさせて申し訳ないと思いつつ、お言葉に甘える。こちらの札所本尊は聖観世音菩薩だが、童女のような可愛らしい表情をしている。南北朝時代の作とのことで、このお寺が関東大震災の被害にあった際に、法類(お寺の親戚関係のようなもの)に当たる札所7番の東慶寺から奉安されたものと御住職は説明してくださった。

百観音霊場を知ったきっかけなど、いろいろと話が弾む。こちらの御住職、龍興寺の御住職とも親しいようである。何としても結願しなければと気が引き締まる。
(続燈庵 神奈川県鎌倉市山ノ内431)

長くなるので続きは別記事で。

円覚寺百観音めぐり(2)

お出かけ 円覚寺百観音 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

空模様が怪しいが、近所の「大本山円覚寺百観音霊場」巡りに出掛けてきた。

 

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札所39番 常楽山養竹院

わが家からは荒川を渡って車で30分ほどの、札所39番の養竹院さんから回る。参道の入り口が県道に面していないため、ちょっと迷うw

山門の脇にひなびた観音堂があって、そちらに「大本山円覚寺百観音霊場三十九番札所」の扁額が掛かる。札所本尊は千手観世音菩薩。
観音堂でお参りして読経してから農家然とした本堂へお参りに伺うと、ご住職の奥様が出てこられ、「○○(管理人の苗字)さんですか?」と聞かれる。「龍興寺さんから電話がありましたから」とのことで、心配りに感謝。お話好きな奥様で、昔話やら霊場巡礼のことやら、いろいろと話が尽きない。札所本尊の千手観世音菩薩は地域で「子安観音」と呼ばれていて、安産に霊験あらたかなのだとか。「あなたはもうお子さんいらっしゃるの?」と聞かれたので「いえいえ、相手がおりませんで…」と答え、二人で呵呵大笑www
このお寺は太田道灌の子資家が父を供養するために開基したとされ、境内には「太田道灌の陣屋跡」の石碑がある。昔は隣接する八幡神社を含め境内地は広大だったそうだが、農地改革などで今のような姿になったのだとか。

縁側に持ってきて下さった朱印を納める箱の中に「中武蔵三十二番札所」という印があったので尋ねると、この地域のお薬師様の巡礼路とのこと。来年の寅年が御開帳だそうで、ちょっと楽しみだ。鬼に笑われそうだがw
山門の脇には、「中武蔵札所」であることを示す新しい石碑も建っている。
(養竹院 埼玉県川島町表9)
養竹院の地図はこちら

 

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札所38番 大龍山清河寺

札所39番から再び荒川を渡り、札所38番の清河寺(せいがんじ)さんへ。ここも県道からの入り口が分かりにくく、ちょっと迷う。やっぱり車にナビをつけないとダメか…www

本堂や庫裏を建て直して間もないようで、木の香りがしてきそうな感じだ。足利一族との関係が深い古刹で、札所本尊は千手観世音菩薩。山門を入って左側にある「慈水堂」と名付けられた観音堂の中にお祀りされている。

路地から100メートルほどの参道の両側には、見事な梅の並木。いい香りが漂っていた。簡素ながら美しい、いかにも臨済宗という感じのお寺だ。
(清河寺 さいたま市西区清河寺792)
※清河寺の地図はこちら

 

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札所41番 寶王山少林寺

札所38番から国道17号を北上し、上尾卸売市場がある交差点を右折して、札所41番の少林寺さんへ向かう。

上尾市の文化財に指定されている朱塗りの山門の脇に、百観音霊場の幟が立っている。1288年開基の古刹で、本尊は聖観世音菩薩。
このお寺のある一帯は西門前という地籍なのだが、その「門前」とはこの少林寺門前のことを指している。昔は相当大きなお寺だったようだ。境内では四季の草花が楽しめるが、その美しさも伝統のなせる技か。本堂にはおびんずる様も安置されている。

お寺から頂いた略縁起の末尾に、大本山円覚寺百観音と並んで「足立新秩父34ヶ所第十二番札所」の文字があった。ご住職に伺うと、江戸時代に始まった秩父札所の「うつし霊場」で、現在では廃寺になっている札所もあって、全部回るのは難しいのでは…とのこと。午年ごとの総開帳の連絡も30年以上絶えているそうで、「音頭取りをする人がいなくなっているのだろうなあ。うちのお寺の御詠歌もあるのですが」と、残念そうなご様子だった。
(少林寺 埼玉県上尾市西門前399)
※少林寺の地図はこちら

 

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札所40番 瑞露山密厳院

上尾市の西北部、歩いて数分で桶川市という場所にある札所40番の密厳院(みつごんいん)さんを訪ねる。

このお寺、実は先週も一度訪れている。その時はデジカメを家に置いてきてしまったのと、無住のようで納経先などが分からず、龍興寺さんで教えて頂いて改めて出直した次第。札所本尊は如意輪観世音菩薩。山門に百観音霊場の扁額が掛かる。養竹院と同様、太田家との所縁が深いお寺という。境内には新しい六地蔵と並び、古びた「馬頭観世音」の石碑が建つ。お堂の横に妙な空間があるのは、馬頭観世音を祀っていたことの名残か。

密厳院は、桶川市の知足院を札所1番とする坂東札所のうつし霊場、足立坂東(北足立)三十三観音の20番札所でもある。別のお寺で聞いた話では、足立坂東三十三観音は午年ごとの総開帳の伝統は守られているようだ。百観音の納経は、養竹院で受けて頂ける。
(密厳院 上尾市藤波2-196)
※密厳院の地図はこちら

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先日書き漏らしてしまったが、円覚寺百観音の大半の札所は、通常の檀家寺。この点は江戸三十三観音も同じなのだが、こちらはまだまだ巡礼者が少ないし、事前にお寺にお参りの日時を連絡しておいた方が良い。ご住職が不在の場合は納経が受けられないお寺もある。

円覚寺百観音霊場めぐり(1)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 観音霊場 霊場巡礼

臨済宗円覚寺派が開創した、「大本山円覚寺百観音霊場」を回り始めた。

この霊場を知ったのは、本当にひょんなきっかけ。隣町の巨大ショッピングセンターに買い物に行こうと車を走らせていたら、たまたま前を通ったお寺さんの前に、「観音霊場」と書かれた青い幟が掲げられているのが見えた。この辺りは江戸時代の開創とされる「忍領西国霊場」「忍秩父三十四札所」などの巡礼が盛んだった土地柄なのでその類かと思い車を路肩に寄せて幟をよく見ると「臨済宗円覚寺派百観音霊場」と書いてある。

たまたま、ご住職夫妻が生け垣に水を撒かれていたので声を掛けると「臨済宗円覚寺派でつくった観音霊場です。資料があるのでお暇なときに寄ってください」とのことだった。

後日、改めてこの龍興寺さんを訪ね、ご住職夫妻から回り方などを伺う。先に伺った通り、臨済宗円覚寺派のお寺だけで構成する観音霊場で、札所1番は大本山円覚寺の聖観世音菩薩、結願札所はやはり円覚寺の百観音で、現在は神奈川、埼玉、静岡、栃木、群馬、新潟の各県に札所が点在しているようだ。札所になっているお寺で専用の納経帳を受けて回る決まりという。唱えるお経は般若心経で良いそうだ。興味がわいたので、納経帳を受けてお参りすることにした。

 

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札所43番 大光山龍興寺

本来ならば鎌倉にある札所1番の円覚寺から回らなければいけないのだろうが、この霊場の存在を知ったきっかけから、わが家最寄りの札所43番、龍興寺さんを発願札所に定める。

このお寺は騎西町上崎地籍だが鴻巣市との市町境に近く、公共の交通機関で行く場合はJR高崎線の鴻巣駅を使った方が便利で、市町境の近くまではコミュニティバスもある。お寺の本尊は釈迦如来で、札所本尊は千手観世音菩薩。

境内はいかにも臨済宗らしい枯山水の趣で、簡素な中にも清々しさが漂う。本堂のそばにある法話の掲示板はご住職の直筆のようで、話題の選び方や話の中身が身近で分かりやすい。このお寺は足利氏との関係が深かったようで、境内に足利持氏、春王、安王の供養塔がある。境内が広く感じるのもそれ故か。

ご住職は元気で人当たりがよく、法話も上手そうにお見受けした。県内の守り本尊霊場を回っていることを話し、私が午年であることを言うと、「同じだね」とにっこり笑われた。この霊場の回り方についてもアドバイスを受けた。「札所巡りをしているとどうしても欲が出て、一日に多くのお寺を回ろうとしがちだが、それではいけない。お参りには時間が掛かるものだし、欲を出してはいけない。1日に5つのお寺を回ろうとして、実際には4つ回るくらいのつもりでちょうど良い」「札所を回ろうと発願する、その気持ちこそが大切」とご住職はおっしゃる。行田霊場や江戸三十三観音を回った経験からご住職のアドバイスは頷けるものばかりで、この霊場巡りからはゆっくり回ろうと心に誓う。
次に回るお寺が無住のような気がしたので尋ねたら納経所になっているお寺を教えていただき、わざわざ電話連絡までして頂いた。ただただ感謝。

何せ広いエリアの霊場、結願を急がずのんびり回ろうと思う。
(龍興寺 埼玉県北埼玉郡騎西町上崎1890)
※龍興寺の地図はこちら

江戸三十三観音めぐり(7=完)

お出かけ 寺社巡礼 御朱印 江戸三十三観音 観音霊場 霊場巡礼

ちょっと雲行きが怪しかったが、江戸三十三観音巡りの続きに出掛けてきた。

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札所32番 世田谷山観音寺

JR超ド田舎線の電車が荒川を渡って東京都内に入るころから、外は雨模様。池袋の辺りでは結構しっかり降っていたが、せっかくここまで来たのだし、このままお参りを続ける。幸い、渋谷で電車を降りたときはほとんど雨は上がっていた。札所32番は渋谷から三軒茶屋まで東急田園都市線を使っても良いのだが、空模様が心配で札所の近くまで運んでくれるバスに乗る。

札所32番の世田谷山観音寺は、「世田谷観音」の通称で知られる祈願寺。江戸三十三観音で唯一の、特定の宗派に属さない単立寺院だ(開基の経緯から天台宗や浅草寺との関係があるようだが)。お寺の本尊である聖観世音菩薩がそのまま札所本尊になっている。

戦後、それも在家出身の住職の開基と聞いていたが、鬱蒼とした緑に包まれている境内は古刹の趣が漂う。住宅街のど真ん中にあるのだが、参拝者の姿が絶えないのは、それだけ地域に親しまれているお寺ということだろうか。

実はこのお寺にお参りするのがちょっと楽しみだった。江戸三十三観音を扱ったサイトで、「住職が法話好きでなかなか帰してくれない。ある意味で江戸札所の難所」などと紹介されていたからだ。
本堂の前でお参りしてから寺務所に納経に伺うと、出てこられたのは副住職と思しき若い男性。さすがに境内をくまなく案内されたり本堂で読経や法話を…ということはなかったが、朱印帳を見ながらあれこれ話が弾む。埼玉県から出てきて巡礼していることに感心されたのは、ちょっと面映い。

納経の時に「ぜひ本堂に入ってお参りしてください」とのことだったので、例によってお言葉に甘える。
元々は伊勢長島の興昭寺の本尊だったという観音さまは、近くで見ると結構な迫力で、風雪に耐えてきたことを感じさせない、いいお顔をされている。脇侍には月光・日光の両菩薩。マリア観音を祀っているのは、東京のお寺では珍しいだろう。
本堂の中には布袋尊も祀られていて、近くには地元警察署が奉納した宝船も。一種の防犯策なんだろうが、地域に密着したお寺の証でもある。

寺務所で次は目黒不動尊にお参りする旨を話すと、「乗り換えなしで行けるバスがあります」と、バスを降りてから目黒不動尊までの道順を記した紙まで頂いた。江戸三十三観音では最もフレンドリーな対応をして頂けるお寺であることは間違いなく、こういう心配りが巡礼初心者には嬉しい。
(世田谷区下馬4-9-4)
※世田谷観音公式ホームページはこちら

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札所33番 泰叡山瀧泉寺

大鳥神社前でバスを降り、「目黒寄生虫館」の脇から札所33番への裏参道に入る。「寄生虫館」というとグロ系の展示を想像してしまうのだが、カップルが多く出入りしている。実際はどうなんだろうか…。

札所33番は、通称の「目黒不動尊」と書いた方がピンとくる人が多いだろう。山号で察しが付くように天台宗のお寺で、本尊は不動明王。札所本尊は聖観世音菩薩で、寺務所そばの観音堂にお祀りされている。境内は賑やかさはないものの、参詣者の姿が絶えない。江戸五色不動の一つで、境内のあちこちに不動明王が祀られている。境内は結構な高低差があり、境内に点在するいろいろなお堂をお参りして回ると、結構な運動量だ。墓地には甘藷先生こと青木昆陽が眠り、それとは別に石段近くには昆陽の顕彰碑もある。

番外札所は先に回っているので、今回の江戸三十三観音めぐりはこれで結願。納経に伺うと、係の人が朱印帳を見て「結願ですか?」と聞いてくるのでその旨答えると、「お参りご苦労さまでした」と、「結願成就」の印を朱印帳に押してくださった。感激…。
(目黒区下目黒3-20-26)
※目黒不動尊の公式ホームページはこちら

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発願から2カ月弱で結願できたのは、ちょっと意外。この間、週末の天気が良かったことが多いのが最大の要因だが、これも観音さまのおかげと言ったら考えすぎか。どのお寺でも親切に対応して頂いたし、3分の2以上のお寺で本堂に上げていただいてお参りできたのは、これまでにない経験で良かった。お寺でお参りしている間は仕事など諸々のストレスを一時ではあっても忘れることができるし、静かな空間は気を休めてくれる。東京都内のお寺めぐりということでとにかく歩けるのも、私のようなメタボ人間には嬉しい限りだ。

しばらくしたら、今度は実家に暮らす両親のため、再び江戸三十三観音の巡礼路を歩いて回ろうと思っている。取りあえずこの次はどこの霊場を回るか。私の霊場めぐりはウオーキングも兼ねているので東京周辺の霊場が主になるが、どこにしようか…。

江戸三十三観音めぐり(6)

お出かけ 寺社巡礼 御朱印 江戸三十三観音 観音霊場 霊場巡礼

品川周辺の江戸三十三観音めぐりの続き。

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札所30番 品川成田山不動尊一心寺

札所30番の一心寺には品川から京浜急行に乗って行こうと思っていたのだが、29番の目の前にある「高輪警察署前」を通る93系統の都バスで近くまで行けることが分かり、迷わずそちらに乗る。「東品川1丁目」でバスを降り、停留所近くの路地を通って旧東海道に出ると、程なく一心寺に着く。

ここは「成田山」の名を冠している通り真言宗智山派のお寺で、札所観音は聖観世音菩薩。平成4年9月からそれまでの海晏寺(かいあんじ)に代わり、江戸三十三観音の札所30番を務めている。

このお寺には、今年の正月に東海七福神参りをしたときにも訪れている。その時は結構な賑わいだったが、立春を過ぎて七福神の受け入れが終わった今は境内は静かそのもの。お寺そのものが田舎のお堂のようなコンパクトな造りだから、この方が雰囲気があって私は好きだ。

読経してから呼び鈴を押すと、ワンちゃんがお出迎え。お寺の犬らしく人懐っこい。程なくご住職の奥様と思しき女性が出てきて、納経の対応をして下さる。

小さなお寺だが、江戸幕府の大老・井伊直弼が開山の名刹である。現在は、延命と商売の御利益を得ようと詣でる人が多い。
(品川区北品川2-4-18)

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札所31番 海照山普門院 別格本山品川寺

札所31番の品川寺へは、30番から旧東海道を15分ほど南へ下る。小さなお店が軒を並べる商店街が続くが、活気があって賑わいが絶えない。大型店の進出などでシャッター通りと化す地方都市の商店街とは対照的だ。目印は山門脇に鎮座している大きなお地蔵さま。

このお寺はその立地から「しながわでら」と読まれることが多いが、本来の読み方は「ほんせんじ」で、真言宗醍醐派のお寺だ。札所本尊は水月観世音菩薩と聖観世音菩薩で、ともに秘仏。また東海七福神の毘沙門天を祀っているほか、東海三十三観音や江戸六地蔵の札所にもなっている。

本堂に相対している大梵鐘の逸話は有名。廃仏毀釈の嵐で海外に搬出された鐘を関係者の努力で取り戻し、その縁をきっかけに品川区とスイスのジュネーブ市が姉妹都市縁組を行うことになる経過は、お寺の公式ホームページに詳しい。
(品川区南品川3-5-17)
※公式ホームページはこちら

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番外札所 龍吟山千躰荒神殿海雲寺

江戸三十三観音唯一の番外札所である海雲寺は、31番のすぐそば。曹洞宗のお寺で、本尊は十一面観世音菩薩。

このお寺は、かまど(火)の神様である千躰荒神を祀るお寺として名高い。上の写真でいかにも本堂然としている大きなお堂は実は荒神さまが祀られていて、本尊の観音さまはその右側の小さなお堂に安置されている。間違ってお参りする人が絶えないようなので、注意が必要だ。

3月と11月の下旬に開かれる荒神さまのお祭りは盛大なもののようで、「釜おこし」が名物という。納経をお願いするとお姿を一緒に頂けたが、そのお姿も荒神さまのものである。
(品川区南品川3-5-21)

残るお寺はあと2つ。
次回は32番札所の世田谷観音にお参りする。

江戸三十三観音めぐり(5)

お出かけ 寺社巡礼 御朱印 江戸三十三観音 観音霊場 霊場巡礼

昨日の土曜日(2月21日)は、朝から絶好のお参り日和。江戸三十三観音巡礼の続きに出掛ける。今回は、品川周辺の札所を回る。

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札所26番 周光山長寿院済海寺

上野でJR京浜東北線に乗り換え、田町へ。ここから札所26番の済海寺まで歩く。途中には新聞社の方にはおなじみ(笑)の輪転機メーカー「東京機械製作所」の本社がある。札所近くは急な坂道で、出だしから寄る年波を実感www

札所26番の済海寺は浄土宗のお寺で、都心のお寺と思えないくらい、境内は広い。建物もモダンなコンクリート造りだが、「お寺らしさ」を残しているのはさすが。あまり言いたくはないが、真宗系の寺院などでは最近、「訪れる人を拒否する」ような趣の建物が多いんだよな。
札所本尊の「亀塚(きちょう)正観世音菩薩」は、境内に入ってすぐの左側、観音堂に安置されている(浄土宗のお寺なので言わずもがなだが、お寺の本尊は本堂にある阿弥陀如来)。観音堂の扉は閉ざされていて、「お前立ち」なのか、本尊の写真が入り口脇に掲げられている。札所会発行の公式ガイドブックには「本堂内に安置され一般に公開されている」とあるが、何らかの事情で秘仏に戻したのだろう。納経所は本堂入ってすぐの受付。

亀塚t正観世音菩薩とは聞き慣れない観音さまだが、亀の上に聖観音が立たれている珍しいもの。この辺りは以前は海岸で、亀にまつわる言い伝えがいろいろあるらしく、そこに由来しているのだろうか。隣接する公園も「亀塚公園」という名前だ。このお寺には日本で最初のフランス公使館が設けられ、境内にはそれを示す石碑も建っている。お寺とフランス公使館という組み合わせが興味深い。
(港区三田4-16-23)

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札所25番 三田山魚籃寺

道順の関係で、先に26番を打ってから札所25番の魚籃(ぎょらん)寺にお参りする。ここは正式の寺名より、「魚籃観音」の通称の方が有名だ。札所26番からはゆっくり歩いて10分ほど。

都内や近郊では有名な部類の観音さまなので広い境内を想像していたのだが、行ってみると結構コンパクトなお寺だ。このお寺も浄土宗で、札所本尊は「魚籃観世音菩薩」。その名の通り、魚の入った籠を腰に下げた、麗しい女性の姿の観音さまである。

お寺で頂いた縁起書によると、魚籃観音はもともと中国で信仰の厚かった観音さまで、仏法を広めるために魚売りの若い女性に姿を変えた観音さまにまつわる故事に由来するものだという。庫裏の玄関に江戸時代の書物の挿絵に彩色したものが掲げられているが、現在より境内も広いと思しき境内には茶店などもあり、多くの人でにぎわっている。納経の対応をして頂いたご住職の奥様によると、「当時は信徒寺で、参詣者でにぎわっていたようです」とのこと。その絵のそばには、魚籃観世音菩薩のレプリカが安置されている。

境内にある「おさかなの家」は、難病と闘う子どもとその親のための安価な宿泊施設「ファミリーハウス」のはしり。仏教ホスピスなどとともに、お寺の新たな社会への関わり方の一つだろう。美肌に霊験あらたかとされる「おしろい地蔵」もすぐ近くである。
(港区三田4-8-34)

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札所27番 来迎山道往寺

札所27番の道往寺は、魚籃寺から歩いて10分ほどで、今度は下り一方なので楽だw。ただ、魚籃寺方面から歩いてくると境内に向かう路地が見つけにくいので、道に迷いかけたら第一京浜まで出てしまった方が良い。目印は参道に接しているイラク大使館。

ここは浄土宗のお寺で、札所本尊は「聖観世音菩薩」と「千手観世音菩薩」の2体。境内はコンパクトで、本堂も田舎のお寺を彷彿とさせる造り。モダンな造りのお堂が多い江戸三十三観音だが、こういうお寺にお参りできると、どことなくほっとする。江戸三十三観音めぐりの入門書『昭和新撰 江戸三十三所観音巡礼』(朱鷺書房)にもその佇まいが絶賛されているのが頷ける。

先代ご住職(故人)の奥様が納経の対応をしてくださり、お寺の由来などをいろいろ伺う。趣の深い本堂は、戦災で焼け残ったものを戦後になり現在地へ曳き家したものという。当時は広大な境内だったことや、もともとは札所26番の隠居寺だったことなどを教えていただいた。「阿弥陀様の教えに従い、できる限り今のままの姿でやっていきたい」というお話に心を打たれる。奥様の対応も丁寧で、ありがたい限り。私の住まいの近くのあるお寺で、高校生くらいの娘さんが納経の対応を一生懸命されていたことを話すと、非常に感心されていた。
(港区高輪2-16-13)

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札所29番 高野山東京別院

第一京浜を南に歩いて、札所29番の高野山東京別院に向かう。途中に「江戸六阿弥陀」の石碑があるお寺があったが、六阿弥陀は城北方面のはずで、それとは別なのだろうか…埼玉県内の観音霊場でも、違う巡礼路に同じ名前が付いているケースがあるのだが。

高野山東京別院は、その名の通り高野山真言宗の総本山、金剛峯寺の東京別院。札所本尊は聖観世音菩薩で本堂の中に安置されているが、それとは別に大きな石像の観音さまが本堂脇に祀られている。お寺の本尊は弘法大師。永平寺の別院である札所22番と同じく、若い僧侶の修行道場としての位置付けられているようだ。

訪ねた時は「お大師様の日」の法要の真っ最中で、法要が終わるのを待ってから本堂にお参りする。ここは遍路道の「御府内八十八箇所霊場」の発願札所を兼ねていて、本堂の中には納め札を入れる箱が用意されている。納経所では御府内八十八箇所めぐりをしている男性と一緒になった。
(港区高輪3-15-18)

長くなるので続きは後ほど。

江戸三十三観音めぐり(4)

お出かけ 寺社巡礼 御朱印 日記 江戸三十三観音 観音霊場 霊場巡礼

先週の土曜日は、前夜からの雨も早くに上がって、絶好のお出かけ日和。
少し寝坊してしまったが、江戸三十三観音巡りの続きに出掛けてきた。
今日は、虎ノ門や芝、麻布周辺の札所を回る。初夏のような陽気で、コートを着て歩くと汗ばんでくる(笑)。

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札所20番 光明山和合院天徳寺

上野で地下鉄(前にも書いたが「東京メトロ」って言い方、抵抗あるんだよな)銀座線に乗り換え、虎ノ門へ。途中にある金毘羅様にお参りしてから、札所20番の天徳寺に向かう。

ここは愛宕山の麓にある、浄土宗のお寺。大通りの近くなのだが、緑が豊かな境内は静かなものだ。本堂はモダンな鉄筋コンクリート造りだが、札所本尊の聖観世音菩薩は、いかにも古刹と言った趣のある木造の旧本堂にお祀りされている。都会のお寺とは思えない、趣のある建物。

観音札所巡礼の旨を伝えると、観音様の前に案内してくださる。高さは40センチほどだろうか、それほど大きいわけではないが、いかにも年代を経ているような観音様で、いいお顔をしている。
(港区虎ノ門3-13-6)

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札所21番 大本山増上寺

天徳寺を出てから、せっかくここまで来たのだし愛宕神社にもお参りする。裏手から上ってNHK放送博物館のそばに出る道を登ったが、結構息が切れる…歳だな。増上寺へ向かう途中、はるか昔に派手なテレビCMを流していた中華料理店「留園」の前を通る。今はテナントビルになっているが、お店はやってるのかな…。

札所21番の増上寺は、浄土宗の大本山。近くにプリンスホテルや東京タワーがあるせいか、観光客の姿が多い。札所本尊の西向聖観世音菩薩は、本堂に向かって右側の道路沿いにある。この観音様は江戸三十三観音唯一の石像で、高さは7尺というから2メートルを超す、堂々たるもの。

観音様と道路の間には、水子地蔵尊がびっしりと並び、供えられた風車がくるくると回っている。傍目には美しく感じるのだろうか、外国人の参拝客がしきりにカメラのシャッターを切っていたが、水子地蔵の意味を分かっているのだろうか…。

納経所では「京浜四大本山めぐり」の案内書も頂いた。別の機会にお参りしよう。
(港区芝公園4-7-35)
※増上寺ホームページはこちら

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札所28番 金林山金地院

道順の関係で、札所28番の金地院へ先にお参りする。東京タワーのすぐ前にあり、ちょうどお昼時だったのでここで昼食を取る。東京タワーに来るのは30ウン年ぶりだが、結構な人手なのは昔と変わらず。広場では猿回しをやっていて、人だかりができていた。

ここは江戸三十三観音札所で唯一の臨済宗のお寺で、札所本尊は聖観世音菩薩。ここでも庫裏で観音札所巡礼に来た旨を話すと、本堂に入れて頂けた。元々は如意輪観世音菩薩を本尊としていたが、戦災に遭い復興する際に聖観世音菩薩に変わった由。禅宗のお寺らしく境内は枯山水の趣で、本堂の中もどこか張り詰めた雰囲気がある。
(港区芝公園3-5-4)

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札所22番 大本山永平寺別院長谷寺

金地院から飯倉交差点方面に下り、渋谷行き88系統の都バスで札所22番の長谷寺に向かう。首都高の渋滞情報でおなじみ「高樹町」ランプのすぐそば、富士フイルムのビルの裏だ。

このお寺は曹洞宗の総本山永平寺の東京別院で、「ちょうこくじ」と読む。札所本尊は十一面観世音菩薩。
この観音様は「麻布大観音」との別名にふさわしい、高さ約10メートルの堂々たる大きさ。クスノキの一本彫りで、その迫力はただ息を呑むばかりで、いつでも間近に拝めるのは素晴らしい。

長谷寺は曹洞宗の修行道場として位置づけられているお寺で、札所13番の護国寺でもそうだったが、納経所にいるお坊さんは、修行中とおぼしき若い人ばかり。きびきびと仕事をされていて、こちらも気持ち良い。本堂の奥からは、御詠歌のおさらいの美しい声が聞こえてきた。
(港区西麻布2-21-34)

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札所24番 長青山梅窓院

麻布界隈のおしゃれな店が立ち並ぶ界隈を、元来が田舎者の私は引け目を感じながら今日の打ち納めとなる札所24番の梅窓院へ向かう。土地柄だろうか結婚式場の類が多く、礼服姿の男女を多く目にする。

梅窓院は徳川幕府との縁が深い浄土宗の名刹だが、境内は数年前に装いを一新し、本堂はモダンなオフィスビルのような装いの建物。参道に植えられた竹が美しい。納経所の建物は独立しているが、本堂と統一したデザインのおしゃれな建物。1階にある観音堂ではお通夜の準備が始まっていたが、心配りで観音様を拝むことができた。札所本尊は泰平観世音菩薩。鑑真和尚が中国から勧請したもので、かつては武運長久、今は世界平和を祈る観音様として祀られている。
(港区南青山2-26-38)
※梅窓院のホームページはこちら

この後は明治神宮にお参りして帰宅。明治神宮の朱印代は500円だった。
次回は高輪周辺の札所を回る。残りは9つだ。

江戸三十三観音めぐり(3)

お出かけ 御朱印 日記 江戸三十三観音 霊場巡礼

今週は土曜日が出勤で、代わりに木曜日が休み。江戸三十三観音巡りの続きに出掛けてきた。

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札所14番 神霊山金乗院

池袋から地下鉄副都心線で雑司が谷に出て、急な坂を下りること数分、札所14番の金乗院に着く。
ここは「目白のお不動様」で知られる、真言宗豊山派のお寺。札所本尊は聖観世音菩薩だ。
目白のお不動様は結構有名だから大きなお寺とばかり思っていたが、コンパクトな境内にちょっと驚いた。しかし、このお寺は真言宗豊山派の小野塚幾澄管長の自坊でもある名刹で、都内の遍路道として知られる「御府内八十八箇所」の札所38番でもある。
目白のお不動様はもともと新長谷寺という別のお寺を指していたが、新長谷寺が戦災に遭ったため、戦後に合寺し不動明王を祀るようになっている。お不動様は、本堂右手の小さなお堂に安置されている。
(豊島区高田2-12-39)

 

札所15番 光松山放生寺

札所14番を出て、都電の面影橋電停のところで神田川を渡り、早稲田大学のキャンパスを巻くようなルートで、札所15番に向かう。途中にあった水稲荷神社にもお参りして、御朱印を頂く。

札所15番の光松山放生寺は、「一陽来福創始の寺」として知られる、高野山真言宗のお寺。札所本尊は聖観世音菩薩。金運や虫封じに御利益のある観音さまという。
お寺に着くと、本堂ではお葬式の準備の真っ最中。観音様は本堂右手の観音堂に祀られていて、こちらは気忙しい様子ではなかったが、慌しくお参りする。ここは灯明をあげてお線香を焚けるようになっていたので、私も従う。
お参りを終えて観音堂の中にある納経所を訪ねると、堂守の女性が「住職が手が放せないので、書き置きで良いですか?」と聞いてくる。状況は分かっているしお参りできただけありがたいので、お言葉に甘える。朱印帳にきちんと書き置きの半紙を張って頂き、お姿も添えてくださったので、ちょっと恐縮ものだ。
日を改めて本堂の方にもお参りしよう。
隣接する穴八幡にもお参りして、こちらでは「一陽来復」と墨書きした御朱印を頂いた。
(新宿区西早稲田2-1-14)
※放生寺のホームページはこちら
※葬儀の準備中だったため、写真はありません。

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札所16番 医光山長寿院安養寺

知人に教えてもらったそば店「長岡屋総本店」で昼食を取り、そのまま歩いて神楽坂にある札所16番の安養寺に向かう。
安養寺は「神楽坂の聖天様」として知られる、天台宗のお寺。札所本尊は十一面観世音菩薩で、お寺の本尊は薬師瑠璃光如来だが、現在のご住職が比叡山で荒行を達成された時に贈られた聖天様を御本尊と思っている人が多いのではないだろうか。出世開運にご利益のあるお寺なのは間違いないところだが。

庫裏に御朱印を頂きに伺うと、本堂を開けて下さって御本尊を拝むことができた。御宝前で般若心経を唱え、ご住職の奥様から仏様や飾られている仏様の絵についてのお話を伺う。聞けば、奥様は滋賀県の御出身。かつて滋賀県の新聞社に勤めていた私とは意外なご縁である。
(新宿区神楽坂6-2)

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札所18番 金鶏山真成院

札所番号が一つ飛ぶが、できるだけ合理的に回るため先に札所18番の真成院にお参りする。ここは四ツ谷の、以前文化放送があった辺りにある高野山真言宗のお寺で、「四谷霊廟」の通称の方が通りが良い。札所本尊は潮干十一面観世音菩薩。
「潮干観音」とは聞き慣れない名前の観音様だが、その昔このお寺の一帯は海が近く、潮の満ち引きに合わせて観音様の台石が濡れていたことに由来するのだとか。ここは、関東九十一薬師や御府内八十八箇所の札所でもある。

お寺の建物は納骨堂を合築したビル形式になっていて、そのことから「四谷霊廟」という別名があるのだが、観音堂はその一番上の階にある。受付でお参りに来た旨を告げると、観音堂に入ってお参りしてくださいとのことで、お言葉に甘える。

こちらは癌など難病に霊験があるお寺として知られる。先代のご住職は、密教関係の本を多数出版されている織田隆弘師である。
(新宿区若葉2-7-8)
真成院ホームページはこちら

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札所17番 如意輪山宝福寺

四谷三丁目から地下鉄丸の内線で方南町に向かう。地図で見ると方南町駅からの距離は大したことないのだが、道が入り組んでいて分かりにくい。何やら警戒中の警察官に道を尋ねたが、管轄が違うとのことで素っ気無い返事。持参の地図を頼りに、どうやらたどり着いた。

境内は23区内のお寺とは思えない広さで、辺りには静寂さが漂っている。ここは真言宗豊山派のお寺で、通称は「中野観音」。札所本尊は如意輪観自在菩薩で、すべての願いを叶えてくれるとされる観音様である。

観音様は本堂左側にある、木造のお堂に納められている。文字が消えかかった札所の看板が、歴史を物語っている。若い奥様が御朱印の対応をして下さったが、ものすごく礼儀正しく、いかにも「寺庭婦人」という趣の方である。
(中野区南台3-43-2)

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札所19番 医王山東円寺

地下鉄の車庫を回り込むようなルートで、今日の打ち納めとなる札所19番の東円寺に向かう。お日さまが大分傾いてきたので、ちと先を急ぐ。
東円寺も真言宗豊山派のお寺で、札所本尊は聖観世音菩薩。観音様は本堂左側の観音堂に祀られている。

ここのお寺、寺務所の建物がものすごくモダンな造り。納経所になっている1階の受付など、まるで美術館のロビーのようでちょっと戸惑うが、出てこられた女性はきびきびと御朱印の対応をして下さった。
(杉並区和田2-18-3)

この後は新宿で行われた、転勤する同僚の内輪の送別会に合流。

次回は虎ノ門の札所20番から回る。

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サーバーのレスポンスが異常に悪い状態が続いており、今回も取り急ぎ文字のみのアップとなること、悪しからず。
サーバー障害が長期化しそうなので、使うサーバー屋の乗り換えを検討中。

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