豊島八十八カ所巡り(13)

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26日の土曜日も、豊島八十八カ所のお参りに出掛ける。今回は、先日お留守などで巡礼できなかった、都電荒川線沿線のお札所から回る。

 

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札所65番 慈眼寺

最初に訪ねたのは、都電荒川線の町屋二丁目電停に程近い、札所65番の慈眼寺。近隣では「朝日薬師」の通称の方が通りが良い、真言宗豊山派のお寺である。本尊はもちろん薬師如来。

都電を降りて、小さな店や住宅が建ち並ぶ細い通りを北へ歩くと、程なく薄茶色の塀に囲まれた墓地が見えてくる。ここが目指す慈眼寺だ。小ぶりな山門をくぐると、いきなり墓地が広がるが、その中央を細い参道が本堂まで続いている。

このお寺で特徴的なのは、何と言っても本堂の造り。コンクリート造り4階建の事務所や工場とよく似た建て方をしているのだが、3階部分の壁面には金色の大きな薬師如来像が祀られていて、この建物がお寺の本堂であることを強烈にアピールしている。1階の入り口脇には石像の観音様が祀られ、通常のお参りはこちらで行う。本尊の薬師如来は、古くより眼病やお母さんの乳の出に霊験があるとされる。現在ではペット霊園も併設。荒川辺八十八カ所の札所9番でもある。
(慈眼寺 東京都荒川区町屋2-20-12=2009年9月26日巡礼)

 

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札所63番 阿遮院

次にお参りした札所63番・阿遮院は都電荒川線の東尾久三丁目電停からすぐ。もっとも、65番の慈眼寺からは歩いても10分かからない近さだ。真言宗豊山派のお寺で、本尊は不動明王。

尾久消防署の下尾久出張所と向かい合うように参道の入り口があり、100メートルほど奥まった所に山門がある。参道の入り口にはこのお寺が豊島八十八カ所などの札所であることを示す看板が立ち、その下には御府内二十一カ所(現在の御府内八十八カ所とは別物)の札所であることを示す石碑が建つ。

このお寺の正式な名称は「阿遮羅山阿遮院蓮華寺」。「阿遮」は、本尊の不動明王のサンスクリット語の名前(梵名)「アチャラナータ」に由来すると伝えられる。鉄筋コンクリートのモダンな感じの本堂に祀られているお不動様を、ガラス越しに拝むことができた。

色とりどりの花がたくさん植えられた境内は、このお寺が尾久地区で最古の寺院で、かつてはいくつかの末寺を有していたことの名残だろうか。本堂とは対照的に、飾らない佇まいの庫裏で、若い和尚様が一生懸命お納経をしたためて下さった。「お気をつけてお参りを」と送り出して頂いたことが印象深い。
(阿遮院 東京都荒川区東尾久3-6-25=2009年9月26日巡礼)

 

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札所20番 地蔵寺

札所20番の地蔵院は、都電荒川線の小台電停から徒歩5分ほどで、尾久警察署の裏手に当たる。68番寶蔵院からは歩いて数分の近さだ。湯島に本山のある真言宗霊雲寺派のお寺で、本尊は聖徳太子作と伝えられる地蔵菩薩。1751(宝暦元)年の開基と伝えられる。

このお寺も建物が特徴的だ。都電を降りて路地を尾久署の脇の路地を隅田川方向に歩くと、屋上に鐘楼を備えた3階建ての伽藍がすぐに見えてくる。すぐ隣の八角堂には千躰地蔵尊や荒川区内唯一とされる阿弥陀三尊の画像板碑が祀られ、墓地を挟んで八角堂と向かい合うように、黒光りしている北向地蔵が立っている。

和尚さまは気さくな方で、お地蔵様信仰のことなどで話が弾むが、お参りの人が多く、ゆっくり話ができなかった。また機会を見てお話を伺いたいものである。
(地蔵寺 東京都荒川区西尾久3-10-6=2009年9月26日巡礼)

 

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札所33番 真性寺

「おばあちゃんの原宿」として、いつの間にか全国区の観光地になった東京・巣鴨の地蔵通り商店街。札所33番・真性寺は、その商店街のJR・都営地下鉄の巣鴨駅側入り口にある。

真性寺は真言宗豊山派のお寺で、本尊は秘仏の薬師如来…と書くと、首をひねる人がいるかもしれない。そう、このお寺は「江戸六地蔵」の札所3番として知られ、お地蔵様への参拝の人が絶えない。ただ、お地蔵様参りに来る人は、このお寺の本尊が薬師如来ということを知らない人がほとんどではないだろうか。1714(正徳4)年建立と伝えられるそのお地蔵様は長年の風雪による傷みがひどく、現在は京都に“入院”中。祀られているのは本来のものより少し小ぶりな、身代わりの仏さまである。本来のお地蔵様が帰ってこられるのは、2010年の4月とか。境内には松尾芭蕉の句碑もあり、こちらもお見逃しなく。

私がお参りしたときは本堂で法要中で、入り口から少し離れた所で小さな声でお勤め。その後寺務所にお納経に伺うが、札番印は同じ札番の御府内のものを兼用。御府内と豊島の両霊場の関係を示す一例であろう。

ここから都電の庚申塚電停に向かって延びる商店街の中ほどには、真性寺とともに巣鴨の地蔵信仰を担ってきた、「とげぬき地蔵尊」こと曹洞宗高岩寺がある。こちらにもお参りして、商店街を見て歩こう。「おばあちゃんの原宿」らしく、気取らずに安さと元気の良さで勝負するお店がいっぱいである。
(真性寺 東京都豊島区巣鴨3-21-21=2009年9月26日巡礼)

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