江戸三十三観音めぐり(5)

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昨日の土曜日(2月21日)は、朝から絶好のお参り日和。江戸三十三観音巡礼の続きに出掛ける。今回は、品川周辺の札所を回る。

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札所26番 周光山長寿院済海寺

上野でJR京浜東北線に乗り換え、田町へ。ここから札所26番の済海寺まで歩く。途中には新聞社の方にはおなじみ(笑)の輪転機メーカー「東京機械製作所」の本社がある。札所近くは急な坂道で、出だしから寄る年波を実感www

札所26番の済海寺は浄土宗のお寺で、都心のお寺と思えないくらい、境内は広い。建物もモダンなコンクリート造りだが、「お寺らしさ」を残しているのはさすが。あまり言いたくはないが、真宗系の寺院などでは最近、「訪れる人を拒否する」ような趣の建物が多いんだよな。
札所本尊の「亀塚(きちょう)正観世音菩薩」は、境内に入ってすぐの左側、観音堂に安置されている(浄土宗のお寺なので言わずもがなだが、お寺の本尊は本堂にある阿弥陀如来)。観音堂の扉は閉ざされていて、「お前立ち」なのか、本尊の写真が入り口脇に掲げられている。札所会発行の公式ガイドブックには「本堂内に安置され一般に公開されている」とあるが、何らかの事情で秘仏に戻したのだろう。納経所は本堂入ってすぐの受付。

亀塚t正観世音菩薩とは聞き慣れない観音さまだが、亀の上に聖観音が立たれている珍しいもの。この辺りは以前は海岸で、亀にまつわる言い伝えがいろいろあるらしく、そこに由来しているのだろうか。隣接する公園も「亀塚公園」という名前だ。このお寺には日本で最初のフランス公使館が設けられ、境内にはそれを示す石碑も建っている。お寺とフランス公使館という組み合わせが興味深い。
(港区三田4-16-23)

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札所25番 三田山魚籃寺

道順の関係で、先に26番を打ってから札所25番の魚籃(ぎょらん)寺にお参りする。ここは正式の寺名より、「魚籃観音」の通称の方が有名だ。札所26番からはゆっくり歩いて10分ほど。

都内や近郊では有名な部類の観音さまなので広い境内を想像していたのだが、行ってみると結構コンパクトなお寺だ。このお寺も浄土宗で、札所本尊は「魚籃観世音菩薩」。その名の通り、魚の入った籠を腰に下げた、麗しい女性の姿の観音さまである。

お寺で頂いた縁起書によると、魚籃観音はもともと中国で信仰の厚かった観音さまで、仏法を広めるために魚売りの若い女性に姿を変えた観音さまにまつわる故事に由来するものだという。庫裏の玄関に江戸時代の書物の挿絵に彩色したものが掲げられているが、現在より境内も広いと思しき境内には茶店などもあり、多くの人でにぎわっている。納経の対応をして頂いたご住職の奥様によると、「当時は信徒寺で、参詣者でにぎわっていたようです」とのこと。その絵のそばには、魚籃観世音菩薩のレプリカが安置されている。

境内にある「おさかなの家」は、難病と闘う子どもとその親のための安価な宿泊施設「ファミリーハウス」のはしり。仏教ホスピスなどとともに、お寺の新たな社会への関わり方の一つだろう。美肌に霊験あらたかとされる「おしろい地蔵」もすぐ近くである。
(港区三田4-8-34)

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札所27番 来迎山道往寺

札所27番の道往寺は、魚籃寺から歩いて10分ほどで、今度は下り一方なので楽だw。ただ、魚籃寺方面から歩いてくると境内に向かう路地が見つけにくいので、道に迷いかけたら第一京浜まで出てしまった方が良い。目印は参道に接しているイラク大使館。

ここは浄土宗のお寺で、札所本尊は「聖観世音菩薩」と「千手観世音菩薩」の2体。境内はコンパクトで、本堂も田舎のお寺を彷彿とさせる造り。モダンな造りのお堂が多い江戸三十三観音だが、こういうお寺にお参りできると、どことなくほっとする。江戸三十三観音めぐりの入門書『昭和新撰 江戸三十三所観音巡礼』(朱鷺書房)にもその佇まいが絶賛されているのが頷ける。

先代ご住職(故人)の奥様が納経の対応をしてくださり、お寺の由来などをいろいろ伺う。趣の深い本堂は、戦災で焼け残ったものを戦後になり現在地へ曳き家したものという。当時は広大な境内だったことや、もともとは札所26番の隠居寺だったことなどを教えていただいた。「阿弥陀様の教えに従い、できる限り今のままの姿でやっていきたい」というお話に心を打たれる。奥様の対応も丁寧で、ありがたい限り。私の住まいの近くのあるお寺で、高校生くらいの娘さんが納経の対応を一生懸命されていたことを話すと、非常に感心されていた。
(港区高輪2-16-13)

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札所29番 高野山東京別院

第一京浜を南に歩いて、札所29番の高野山東京別院に向かう。途中に「江戸六阿弥陀」の石碑があるお寺があったが、六阿弥陀は城北方面のはずで、それとは別なのだろうか…埼玉県内の観音霊場でも、違う巡礼路に同じ名前が付いているケースがあるのだが。

高野山東京別院は、その名の通り高野山真言宗の総本山、金剛峯寺の東京別院。札所本尊は聖観世音菩薩で本堂の中に安置されているが、それとは別に大きな石像の観音さまが本堂脇に祀られている。お寺の本尊は弘法大師。永平寺の別院である札所22番と同じく、若い僧侶の修行道場としての位置付けられているようだ。

訪ねた時は「お大師様の日」の法要の真っ最中で、法要が終わるのを待ってから本堂にお参りする。ここは遍路道の「御府内八十八箇所霊場」の発願札所を兼ねていて、本堂の中には納め札を入れる箱が用意されている。納経所では御府内八十八箇所めぐりをしている男性と一緒になった。
(港区高輪3-15-18)

長くなるので続きは後ほど。

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