豊島八十八カ所巡り(18)

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21日は久しぶりに、豊島八十八カ所のお参りに出かけてきた。今回は北区内のお札所を巡る。

 

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札所69番 真頂院

以前訪れた時に法要中でお参りできなかった、赤羽の札所69番・真頂院からお参りする。

真頂院は真言宗智山派のお寺で、本尊は大日如来。大宮・浦和方面から上野に向かうJRの電車が荒川を渡ってすぐ、左側に大きな伽藍が見えるのでご存じの方も多いのではないだろうか。JR赤羽駅からは歩いて15分ほど。

環八通りとJR3路線の線路に囲まれるような立地で、電車も自動車も往来が激しいが、広い境内は思ったより静か。山門の扉は通常は閉ざされているが、脇にある駐車場から境内に入ってお参りできる。山門の脇のお堂には、正徳4(1714)年に作られたというお地蔵様が鎮座する。境内には元徳2(1330)年と記された石碑もあり、相当古いお寺のようだ。
開山当初は天台宗に属し、後に真言宗に転じた。初代住職が出身地の信州諏訪から1396年に勧請した諏訪神社の別当を、江戸時代まで務めていた。明治36(1903)年の赤羽大火では、地域の避難所として機能したという記録も残る。古くから地域コミュニティの中心となっていたのだろう。

歴史ゆえにお檀家さんの数が多いのだろうか。私が本堂の前でお勤めしているわずかな時間にも、墓参りの人が絶えない。
(真頂院 東京都北区赤羽3-16-3=2009年11月21日巡礼)

 

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札所38番 西蓮寺

真頂院から環八通りと北本通りを歩き、札所38番の西蓮寺に向かう。

西連寺は真言宗智山派のお寺で、本尊は阿弥陀如来。東京メトロ(地下鉄)南北線の志茂駅から「志茂銀座」と呼ばれる商店街を抜け、歩いて7分ほど。開基は弘安年間(1278~88)で、それを裏付けるように本尊の阿弥陀如来像は最近行われた修理で、鎌倉時代に作られたことが分かった。境内の板碑群ともども、北区の有形文化財に指定されている。

境内は枯山水の禅宗寺院のようなお庭になっていて、手入れが行き届いていて美しい。客殿は近年整備されたおしゃれな建物だが、和風の境内と不思議にマッチしていて、違和感がない。施主の意向を十分に理解した、建築家のセンスが光る。

このお寺の隠れた見どころは、100メートルほど離れた場所にある境外仏堂の「福聚観音」。コンクリート打ちっ放しの、ブティックのような瀟洒な建物の中に観音さまが祀られている。造り付けのおみくじ機は、百円玉を入れると、NHKテレビの「ピタゴラスイッチ」に登場するような仕掛けが動き、おみくじが出てくる仕組み。からくりがガラス越しに観察でき、子どもが喜ぶことは請け合いだ。
(西蓮寺 東京都北区志茂4-30-4=2009年11月21日巡礼)
※西蓮寺の公式ホームページはこちら

 

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札所39番 専福寺

西蓮寺から北本通りを南に進み、札所39番の専福寺へ。志茂駅から歩くと10分ほどか。墓地を貫くように延びる参道は、豊島のお札所でよく見られるタイプ。

専福寺は真言宗智山派のお寺で、本尊は薬師如来。寛文元(1661)年に江戸幕府の旗本が開いたお寺と伝えられ、地元では「神谷薬師」の愛称で親しまれている。

本堂には本尊とともに、「願地蔵」というお地蔵様を祀る。持ち上げると願い事がかなうのだそうで、子どもの健康や子育てのほか、豊作や不動産取引などにもご利益があるのだとか。

こちらのお寺は、お納経を頂く庫裏の入り口がちょっと分かりづらい。本堂手前にある一見すると玄関のようなドアは、客殿のもののようだ。回りこんだ場所にある庫裏のドアを開けると、かわいく人懐っこい猫が出迎えてくれた。
(専福寺 東京都北区神谷3-32-11=2009年11月21日巡礼)

 

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札所40番 自性院

専福寺から札所40番・自性院へはほんの数分。地下鉄利用だと、南北線の志茂、王子神谷の両駅ともに歩いて10分足らずの距離。JRの東十条駅からは15分強だ。

自性院は真言宗智山派のお寺で、本尊は不動明王。開基は明らかでないが、室町時代の板碑が残る古刹である。環七通りと北本通りが交わる車の往来が激しい場所にあるが、緑に覆われた境内は静けさが広がる。山門を入ってすぐ右側には、大師堂が建つ。

本尊には「水不動」の愛称が付いている。かつては水害に悩まされたこの地域で、水難除けの仏さまとして大切にされてきたのだろう。お寺の東200メートルほどのところには隅田川が流れる。昭和30年代の半ばまでは、現在の環七通り新神谷橋の付近に「宮堀(神谷)の渡し」があり、庶民の足として、また西新井大師の参拝客の輸送で多くの利用があったという。
(自性院 東京都北区神谷3-45-1=2009年11月21日巡礼)

 

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札所79番 清光寺

隅田川沿いに建つ団地や学校の間を縫うように進み、札所79番の清光寺に向かう。自性院からは15分ほど、東京メトロ南北線の王子神谷駅からは10分足らずで着く。

清光寺は真言宗豊山派のお寺で、本尊は秘仏の不動明王。11月3日の文化の日に本堂の落慶法要を行い、境内は装いを一新している。

このお寺の開基は、鎌倉時代に活躍した豪族・豊島清光とされ、寺号は彼の名にちなむものだ。
清光はかつてこの一帯を支配しており、霊場名や地域を表す「豊島」も、一族の苗字に端を発している。平家の流れをくむ一族でありながら、源頼朝をよく助けたことで知られる。15世紀に入ると、豊島氏は24番・自性院も舞台となった太田道灌との戦に敗れて安房(現在の千葉県南部)に逃れ、その後は悲運の歴史をたどる。

本堂には本尊のほか、区の文化財に指定されている清光の坐像を祀る。寛保2(1742)年に作られた僧形の彩色木像で、柔和な表情が印象的。本堂の前には清光の供養塔もある。
(清光寺 東京都北区豊島7-31-7=2009年11月21日巡礼)

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