行田救済菩薩十五霊場巡礼(6=完)
「行田救済菩薩十五霊場」巡りの続き。
13番札所 真言宗成就院
13番札所の「成就院」は真言宗智山派のお寺。12番札所からはすぐである。
このお寺は1580年ごろの開基と伝えられ、巡礼仏は葉衣(ようえ)観音。信者が暮らす地域を罹病と罹災から守り、その統治者を守護するとされる観音さまだ。
成就院は県文化財に指定されている三重塔が有名だ。葉衣観音はこの三重塔の塔内本尊である。享保14年(1729年)に建立された三重塔は、地域の棟梁らの手によるもので、高さ11.18メートル、1辺2.24メートルという小さな塔だ。小ささ故に通常の塔では見られない、珍しい工法が用いられているという。
御朱印を頂くと、由緒書とカラー印刷の「お姿」を頂いた。お姿を頂いたのはこの霊場では初めてで、200円の朱印代だけではちょっと申し訳ない気分になる。
(成就院 行田市長野7618=地図はこちら)
14番札所 臨済宗安楽寺
続いての14番札所「安楽寺」は、行田市街から旧川里町を経て蓮田市に通じる県道から少し入ったところにある。目印は行田埼玉郵便局。この霊場唯一の臨済宗のお寺で、巡礼仏は聖観世音菩薩。開基は1530年ごろと伝えられる。
本堂の扉は閉められていたが、よく見ると「昼間は鍵を開けているので扉を開けてお参りください」との掲示があるので、お言葉に甘えて扉を開けて般若心経を詠む。物騒な折、こういう心配りをしていただけるのは非常にありがたい。
このお寺はかつて存在した「西行寺」で信仰されていた「子持地蔵」が今なお伝えられていることで知られる。子宝や安産に御利益がある高さ10センチほどの小さなお地蔵さまで、御利益を願う女性がお守りとして身に着けたとされる。
(安楽寺 行田市埼玉4977=地図はこちら)
15番札所 真言宗満願寺
この霊場最後の札所となる「満願寺」は、真言宗智山派のお寺。結願札所にふさわしい、ありがたい名前のお寺である。
満願寺の開基は1580年ごろとされる(1300年ごろとする資料もある)。巡礼仏は歓喜天。その歓喜天は本堂横にある別の堂に祀られる。地元では「野村聖天」の通称で親しまれている。
このお寺には、「東国花の寺」参りで以前にも訪れている。御朱印を頂きに庫裏に伺うと、応対した副住職さまは私のことを覚えていてくれた 座布団とお茶を勧められ、奥から出てきたご住職も交え、結願のお礼をしてから、しばらく世間話に話を咲かせる。キセルをくわえるご住職、なかなか粋である。 こういう触れ合いが、寺社巡り大きな醍醐味の一つだ。
「東国花の寺」同様、行田霊場巡りでの参拝も庫裏で記帳するのがこの寺の決まり。都合2度目の記帳と相成った。このお寺名物の枝垂桜が咲く時期に再びお参りすることを約束して、お寺を後にした。
(満願寺 行田市野744=地図はこちら)
地元観光協会のホムペにも案内がない、「知る人ぞ知る」霊場だがどの寺院も受け入れ態勢が整っており、境内の手入れが行き届いていることもあって気持ちよく巡礼することができた。パンフレットのキャッチコピー通り「つかれた心身を癒す修養霊場」と言える。都内からそう遠くない霊場だし、少しでも参拝者が増えればと願う。
※「行田救済菩薩十五霊場」全体の地図はこちら。
※特記したもの以外、各札所の所在地・開基・巡礼仏は霊場会発行のパンフレットを出典にしている。
2008年12月13日 11:52 PM
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