豊島八十八カ所巡り(14)

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11日の日曜日は、豊島八十八カ所のお札所に巡ってきた。今回は、北区と板橋区のお札所を回る。

 

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札所45番 宝幢院

JR赤羽駅の大宮寄り改札から東口に出て、京浜東北線の高架に並行する、夜は妖しいネオンが輝いていそうな通りを荒川・大宮方向(北向き)に進む。 7~8分ほど歩いてT字路に突き当たったところが、札所45番の宝幢院(ほうどういん)である。

宝幢院は真言宗智山派のお寺で、本尊は薬師如来。室町時代の1461(寛正2)年の開山と伝えられ、当初は現在の船渡二丁目付近にあったが、水害を避けるため現在地に移転したとされている。

住宅や商店が混在する一帯にあるお寺で、境内は広いもののこざっぱりとした感じで、豊島霊場のお札所としてはやや殺風景な部類に入るだろうか。六地蔵やお不動様が、それぞれ独立した小さなお堂に祀られている。

山門の左脇には、江戸時代中期に建立されたという道標の石柱が残り、「東 川口善光寺道 日光岩付道」「西 西国冨士道 板橋道」「南 江戸道」の文字を読み取ることができる。「川口善光寺」とは、現在は荒川のスーパー堤防上に建つ足立坂東観音霊場の24番札所・善光寺のことで、当時は参拝者や巡礼者で賑わっていたようだ。現在の歓楽街は、かつて信仰や祈りの道だったということか。皮肉なものである。
(宝幢院 東京都北区赤羽3-4-2=2009年10月11日巡礼)

 

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札所37番 大満寺

続いて札所69番の真頂院を訪ねるが、法事の真っ最中でお参りは遠慮。すぐ近くの札所37番・大満寺にお参りする。宝幢院からも目と鼻の先で、直接訪ねる場合は地下鉄南北線・埼玉高速鉄道線の赤羽岩淵駅3番出口の真裏になる。真言宗智山派のお寺で、本尊は大日如来。

「四国八十八ヶ所 三十七番写」と記された、明治35年に建てられた石柱が残る山門をくぐると、正面に立派な不動堂が目に入ってくる。本堂は山門から見て左側ほぼ直角の位置にあるが、通常のお参りは不動堂の方で行うようだ。成田山から勧請したお不動さまで、「岩淵不動尊」の愛称で親しまれている。不動堂のそばには本四国の「手かざし霊場」がある。弘法大師像を取り囲むように設けられた、本四国霊場各札所の銘板に 張られた点字に手をかざしてお参りすると、お四国の札所を巡礼したとの同じ功徳が得られるという。

こちらのご住職は占いへの造詣が深く、真言密教に基づく運勢判断もしている。毎月28日のお不動さまの縁日に占ってもらえるそうだ。
(大満寺 東京都北区岩渕町35-7=2009年10月11日巡礼)
※大満寺の公式ホームページはこちら

 

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札所25番 常楽院

赤羽駅に戻り、ときわ台駅行きの国際興業バスで札所25番の常楽院に向かう。地下鉄利用なら、都営三田線の志村坂上駅から歩いて15分ほどか。

常楽院は真言宗豊山派のお寺で、本尊は不動明王。室町時代末期、熊野神社の別当として草庵が結ばれたのを開基としている。

住宅街の中にあるお寺だが境内は広く、幼稚園や多目的ホールなども運営。1938(昭和13)年には境内や周辺から弥生式土器が数多く出土し寺で保存していることから、「土器寺」の愛称で親しまれている。フリーマーケットなど、地域と一体になった行事を手掛ける寺院の先駆けとしても知られる。境内には桜の木がたくさん植えられていて、花の時期は壮観なことだろう。その時はお寺でコンサートなどのイベントが盛大に行われるという。

こちらの隠れた名物が、掲示板の標語。有名人の言葉や幼稚園児がふと漏らした一言など、読んでいて思わず頷いたり、ニヤリとさせられる言葉が掲示されている。ユニークなものが多いので、お参りの折はぜひ御一読を。
(常楽院 東京都板橋区前野町4-20-8=2009年10月11日巡礼)
※常楽院の公式ホームページはこちら

 

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札所14番 長徳寺

常楽院から首都高速池袋線の側道を歩いて、札所14番の長徳寺に向かう。都営地下鉄三田線の本蓮沼駅からは歩いて7~8分だ。

長徳寺は真言宗豊山派のお寺で、本尊は不動明王。1190年ごろに中興されたという記録が残っている、歴史のあるお寺である。

山門をくぐろうとして驚いたのが、写真にあるように豊島霊場の札所であることを示す立派な看板が建っていること。多くの札所では苔むしたり風化が進んだりして判読が難しくなっている石柱が建つのみだが、豊島霊場の歴史を後世に伝えていこうというお寺の意気込みの表れか。境内に入ると、上部が3分の1ほど欠けている、豊島霊場の石碑が残る。このお寺は戦災に遭っているので、その時に欠けてしまったのだろう。

戦後、お寺を再建するときに岩手県平泉の中尊寺にあった阿弥陀如来の木像を勧請した。板橋区内でも有数の古い仏像とのことで、現在は区の有形文化財に指定されている。
(長徳寺 東京都板橋区大原町40-7=2009年10月11日巡礼)

 

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札所34番 南蔵院

長徳寺から路地のような道をたどって、国道17号(中山道)沿いにある札所34番の南蔵院へ向かう。 都営地下鉄三田線の本蓮沼駅が最寄りで、歩いて5分ほど。

南蔵院は真言宗智山派のお寺で、本尊は十一面観世音菩薩。中山道から鉄筋コンクリートのモダンな本堂に向かって参道が延びる。山門の脇に豊島八十八カ所の札所34番であることを示す石柱が建ち、その向かいには豊島八十八カ所の起源の一つとされる「豊島二十一カ所」の札所4番の石柱が残る。古くから弘法大師霊場として親しまれたお寺のようだ。

境内は桜がたくさん植えられ、江戸幕府8代将軍の徳川吉宗が「櫻寺」と名付けたのも頷ける。現代ではその見事さから、区が選定する「板橋十景」の一つになっている。桜の時期にはいろいろなイベントが催されるという。境内には不動堂もあり、関東三十六不動尊の札所12番を兼ねている。不動堂での護摩法要は毎月28日。
(南蔵院 東京都板橋区蓮沼町48-8=2009年10月11日巡礼)
※南蔵院の公式ホームページはこちら

 

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札所31番 普門院

中山道を巣鴨方向に進み、都営地下鉄三田線の本蓮沼駅の所で左折して、今回の打ち納めとなる札所31番・普門院に向かう。途中で西が丘サッカー場の脇を通るが、天皇杯の最中で歓声がすごい。

普門院は真言宗智山派のお寺で、本尊は聖観世音菩薩。1367(徳知2)年の創建とされる。直接訪ねる場合は、JR赤羽駅の西口から歩いて7~8分。

このお寺の見所は、山門(鐘楼門)をはじめとする、ユニークな建築物の数々。昔のトンネルのような石造りの山門の上に中国風の鐘楼が乗っている風変わりな門は、高架線をゆくJRの電車からもよく見える。その山門を抜けると、インドのブッダガヤにある仏塔をモデルにしたという、背の高い納骨堂がそびえ立つ。山門左側にある本堂兼庫裏は垢抜けた感じの西洋風の趣で、私たちが持っている「お寺」の概念を完全に打ち壊すかのような境内の風景だ。静岡県富士市出身の当管理人は、「吉原の毘沙門天」こと妙法寺の境内風景を思い出した(リンク先は「珍寺大道場」)。
わずかに開いている本堂の扉越しに内部を拝むと、かなり大きな本尊の聖観世音菩薩が見える。やはり、ここはお寺なのだと実感。

庫裏へ納経に伺うと、玄関脇に掛けられていたのれんは、観音様が横になって休んでいる絵柄。根来寺の名前が入っていて、ご住職によれば「頂き物です」とのこと。写真でお見せできないのが残念だが、ちょっと珍しい絵柄だ。
(普門院 東京都北区赤羽西2-14-20=2009年10月11日巡礼)

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