円覚寺百観音

円覚寺百観音めぐり(7)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

朝から雨が降ったり時折強い風が吹いたりとあいにくの天気だが、近くの「大本山円覚寺百観音霊場」札所にお参りしてきた。

 

札所44番 吉祥寺

今回訪ねたのは、埼玉県栗橋町にある札所44番・吉祥寺。国道125号の高柳交差点の近くで、拙宅からは車で50分ほどである。

実はこのお寺には、大型連休前にも一度訪れている。その時は境内整備のためお参りできないとのことで、今回は事前に御都合を伺ってからあらためて巡礼した次第。

百観音専用の納経帳や札所案内のパンフレットに「TEL:なし」と書かれているように、このお寺は無住札所。お別当は高柳交差点に面した同じ円覚寺派の寶聚寺が務めていて、今回のお参りも前もって寶聚寺に伺う。法事を終えたばかりの若い御住職が待っていて下さり、少し離れた場所に札所があるので、檀家の方に案内して頂けるという。ありがたい限りだ。

境内での作務の手を休めて吉祥寺まで案内してくださったのは、「顔立ちが整った美人」という趣の、私より少し年上に見える女性。寶聚寺から数百メートル西に向かい、あぜ道や民家の敷地内を入った奥まった場所に、目指す吉祥寺がある。

ある札所の御住職から「あそこはお堂というより祠に近い」と伺っていたが、100メートル四方ほどの草刈りしたばかりの境内地のほぼ中央に広さ3畳ほどの小さなお堂が建っている。案内していただいた檀家の方がお堂の鍵を開けて下さり、本尊の聖観世音菩薩を拝むことができた。
観音さまは総高30センチほどの木像だろうか。黒く彩色されていて、玉眼入りの堂々とした風貌である。古びたお厨子が年月を感じさせ、檀家の方によれば「観音さまが作られてから400年ほど経っているのでは」とのことである。

吉祥寺は寶聚寺の隠居寺として、17世紀の初めに創建されたものらしい。古来よりこの周辺は水害が絶えない地だが、地域の人々の暮らしを守ってきた観音さまということだろうか。普通なら別の場所に移されて祀られるケースだが、こうして開基の地に祀られ続けているのは、地域の信仰の深さなるが故のことだろう。ちなみに、お別当の寶聚寺は足利一族との関係が深いお寺である。

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先に書いたように、吉祥寺は公道から直接入れず、民家の敷地内や田んぼの横を通らないとたどり着けない。一部の地図サイトでは住所を入れるとほぼ正確な場所が表示されるが、無断でのお参りはお寺や近隣の方に迷惑を掛けることになる。お参りの際は、必ず事前に寶聚寺に連絡して、日時などを打ち合わせてお寺の指示に従ってほしい。
また、このような事情があるため今回は写真の撮影をしていないことをお断りしておく。
(吉祥寺 埼玉県北葛飾郡栗橋町高柳1969)

円覚寺百観音めぐり(6)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

4月19日には、近所にある臨済宗円覚寺派の百観音札所にお参りしてきた。

 

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札所42番 円通寺観音堂

「大本山円覚寺百観音霊場」の札所42番・円通寺観音堂は、かつての埼玉県川里町、現在の鴻巣市にあるお寺。わが家からは自転車でも30分ほどの所にある。

鴻巣駅から新落合橋方面のバスが通る県道に面して、札所の観音堂が建つ。慶長年間の建立といわれる総ヒノキ造りの堂々たるお堂で、本尊の馬頭観世音菩薩木像などとともに市の文化財に指定されている。
このお寺、元々は「観音寺」という独立したお寺で、1690(元禄3)年開創とされる西国三十三観音うつしの「忍領三十三観音(忍新西国観音)霊場」の6番札所になっている。明治維新の廃仏毀釈が影響しているのか、現在は円通寺の飛び地境内にある観音堂としての扱い。専用納経帳に「観音寺」と記されているのは、こうした由来によるもののようだ。

お納経は、観音堂から少し歩いたところにある、円通寺本坊の庫裏で扱っていただける。百観音霊場の扁額も、こちらの山門に掛かっている。本坊の境内にはやはり市の文化財になっている石像の三十三観音もあり、こちらもぜひ見てほしい。
(円通寺 埼玉県鴻巣市屈巣2147=2009年4月19日巡礼)

円覚寺百観音めぐり(5)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

日曜日(15日)の「大本山円覚寺百観音霊場」巡りの続き。
札所7~9番は円覚寺山外の札所になる。

 

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札所7番 松岡山東慶寺

円覚寺の総門を出て、JR横須賀線の踏切を渡ると、札所7番の東慶寺はすぐそこ。「縁切り寺」と書いた方が分かりやすいだろうか。そう、現在は私がかつて暮らしていた諏訪市に居を構える、あの歌手のヒットソングのタイトルになっているお寺だ(はっきり書きたいのだが某著作権管理団体への許諾申請が烈しく面倒臭いので)。但し現在は男僧のお寺である。

東慶寺の本尊は釈迦如来で、札所本尊は聖観世音菩薩。私が訪れたときは宝物殿に当たる「松ヶ岡宝蔵」で一般公開されていた(5月末まで)。観音さまの横には、きちんと御詠歌入りの鎌倉三十三観音の扁額が掲げられていた。

境内はお庭がきれい。ここは「東国花の寺」の札所にもなっていて、四季それぞれにお花が楽しめる。入り口の脇にあるヒガンザクラがもう咲き始めていた。今度はイワタバコや花菖蒲の時期に、花の寺巡礼でお参りしよう。 境内の茶室では、若い女性が集まりお茶会を催していた。
(神奈川県鎌倉市山ノ内1367)
※東慶寺公式ホームページはこちら。(公式ブログもあり)

 

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札所8番 金宝山浄智寺

東慶寺を出て、鎌倉街道を市街地方向に少し進み、案内板に従ってJR横須賀線の踏切の手前で右折。だらだら坂を上っていくと、程なく札所8番の浄智寺に着く。

このお寺の本尊は阿弥陀如来など3体で、札所本尊は聖観世音菩薩。観音さまは本堂の裏手の一角を仕切ってお祀りされている。こちらのお寺も鎌倉三十三観音の札所になっていて、観音堂には御詠歌入りの扁額が掛かっている。

山門を入ったときの印象とは裏腹に、このお寺の境内は結構広い。源氏山に食い込んだ谷がそれだけ深いということか。拝観コースは境内の縁をなぞるように造られているので、結構歩き甲斐がある。一番奥まったところにはシイタケの原木がたくさん並べてあって、肉厚でいい感じのシイタケが何本も生えているw 途中には布袋様も祀ってあって、掲示の通りにお腹を撫ぜてきたが、御利益はあるだろうか。
(神奈川県鎌倉市山ノ内1402)

 

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札所9番 錦屏山瑞泉寺

鎌倉市内の札所では、9番の瑞泉寺だけがほかの札所と離れている。鎌倉宮からさらに山側に15分ほど歩いたところにある。地図で見ると坂東三十三観音や鎌倉三十三観音の発願札所になっている杉本寺(杉本観音)からそう遠くない。

札所本尊は千手観世音菩薩。本堂裏手にある崖を利用した「石庭」は必見。お参りの後にゆっくり見たかったのだが、訪れた時はあいにく某県の「歩け歩けの会」が団体参拝中で、急き立てられるようにお庭を後にした。このご一行は参拝マナーも決して褒められたものではなく、結構なお年の人ばかりだったのにちょっと残念。
(神奈川県鎌倉市二階堂710)

円覚寺百観音めぐり(4)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

鎌倉の円覚寺百観音巡りの続き。

 

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札所4番 佛日庵

札所4番の佛日庵は、続燈庵から少し参道を下ったところにある。円覚寺の塔頭では数少ない、外来者ウエルカムのお寺だ。こちらは、円覚寺のとは別に拝観料がかかる。拝観だけの料金とお抹茶付き料金の2本立てで、小腹も空いていたし後者を選び、木戸で500円を支払う。

佛日庵は、円覚寺を開基した北条時宗の廟所として知られる。札所本尊の十一面観世音菩薩坐像は、本堂ではなく廟所にお祀りされている。お抹茶を頂いてから心行くまでお参りする。

こちらは、写経を納めないとお参りすらできないお寺があるなど、「難所」が多いことで知られる鎌倉三十三観音の結願札所にもなっている。朱印所で私のすぐ後ろに並んだ中年カップルは、「結願です」とにこやかに納経所を預かる女性に声を掛けていた。私も「おめでとうございます」と声を掛ける。あちらは、私が手にしていた納経帳に興味があるようで、朱印所で何か聞いていた。
(佛日庵 神奈川県鎌倉市山ノ内434)

 

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札所5番 南山寿徳庵

札所5番の寿徳庵は、佛日庵からさらに少し参道を下り、札所の看板を目印に急な石段を登ったところにある。こちらは札所3番と同じく、「寺用の方以外お断り」の掲示があるのだが、後ろがいやに騒がしいと思って振り返ると、日本人ガイド?に引率された外国人グループが後をついてくる。嫌な予感がしたが、件のグループは案の定、山門のところで御住職に追い返されていた。日本人がついているんだから、注意くらいすれば良いのだが、ひょっとして(以下自粛)。私は百観音参りの来意を伝えると中に入れて頂け、「本堂でお参りしてください」とのことで、お言葉に甘える。

こちらは、戦国の世に当地周辺を治めていた三浦一族との関係が深いお寺。札所本尊は室町時代の作とされる聖観世音菩薩。両手で長い蓮の花を持つ仕草が印象的だ。
(寿徳庵 神奈川県鎌倉市山ノ内444)

 

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札所6番 龍隠庵

結願札所を別にして円覚寺山内での打ち納めとなる札所6番の龍隠庵は、札所1番の横の小道を入って、九十九折の石段を登った小高い場所にある。

石段を登りきると、まさしく庵という感じの建物の隅に観音さまが安置されていて、その前には茣蓙が敷かれていて、お茶のお接待もある。茣蓙に上がってお参りしても構わないかと思って、お寺の人を呼ぼうと鐘を鳴らすと程なく人の良さそうな作務衣姿の若い僧侶の方が出てきた。百観音参りの来意を告げると、こちらでも「本堂でお参りしてください」とのことで少し離れた本堂に案内される。

札所本尊の聖観世音菩薩は丈が30~40センチほどだろうか。わざわざお灯明をつけて下さり、焼香してから読経する。読経が終わって御朱印が出来上がるのを待っていると、先ほどの若い僧侶の方が、お抹茶とお菓子を持ってきて下さった。僅かな納経代だけで申し訳ない…と思いながら頂き、いろいろと話が弾む。程なく御住職もお見えになり、百観音参りを始めた経緯をお話しして、いろいろとアドバイスを頂戴する。まだ回っていない札所でも無住のところなど「難所」があるようだ。「頑張って回りなさい」と励ましの言葉も掛けていただき、ありがたい限り。
あまりのお接待に、お寺を後にするとき賽銭箱の中に気持ちばかりの金額を改めて入れる。
こちらはいろいろな催しもあるようなので、また来たい。本当にいいお寺である。
(龍隠庵 神奈川県鎌倉市山ノ内450)

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円覚寺山外にある札所7~9番は、別稿で。

円覚寺百観音霊場めぐり(3)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 日記 観音霊場

昨日の土曜日から空模様は一転して、雲一つない青空が広がる絶好のお出かけ日和。「大本山円覚寺百観音霊場」巡りの続きに出掛ける。

 

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札所1番 瑞鹿山円覚寺

円覚寺百観音巡礼記のその1に書いた通りの事情で、発願寺はわが家から近い騎西町の龍興寺さんに定めたのだが、1番札所をいつまでも放っておくのは気分が良くない。天気も良いことだし、鎌倉まで遠出をしてみたw

JR北鎌倉駅の下りホーム先端にある臨時改札を出ると、程なく円覚寺の総門に着く。ここで拝観料300円也を払って、境内へ。木戸のすぐ先に朱印所がある。話を聞くと件数が多く結構時間が掛かるようなので、先に納経帳を預けてから札所1番にお参りする。

こちらの札所本尊は大慈大悲観世音菩薩。お寺の本尊である釈迦如来を祀る仏殿のすぐそばにある、「選佛場」に観音さまが祀られている。選佛場は僧侶が座禅を組むためのお堂。写真の通り結構な人出で、他の人の邪魔にならぬように通路の一番端で読経する。観光地化されているし致し方ないのだろうが、手も合わせずに観音さまだけ「見仏」して帰る人の多いこと…数珠を手に読経する私を怪訝な表情で見る人もいるくらいだ…怪しい風体なのは認めざるを得ないがねwww
(円覚寺 神奈川県鎌倉市山ノ内409)
※円覚寺ホームページはこちら

 

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札所2番 伝衣山黄梅院

札所2~6番は、円覚寺山内にある塔頭寺院。札所2番の黄梅院は、その中でも一番奥まった場所にある。歩く距離も高低差も結構あり、円覚寺の広さを実感。

黄梅院の札所本尊は千手観世音菩薩と聖観世音菩薩の2体。いずれも本堂に安置されていて通常は拝むことができないようだが、「お前立ち」ということだろうか、境内にある観音堂には別の聖観音がお祀りされている。
札所の看板はあるのだが、納経所を示す類のものがない。本堂の玄関を訪ねたら、こちらで正解だった。「よくお参りです」と声を掛けていただき、御朱印を頂けた。

別の札所で聞いたのだが、黄梅院の御住職は山内の要職も務められているようで、お留守のことが多いらしい。「一度で御朱印を頂けるとは運がいいですよ」とのことだが、これも観音さまの御加護だろうか。
(黄梅院 神奈川県鎌倉市山ノ内428)

 

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札所3番 万富山続燈庵

黄梅院から参道を少し下りて、札所の看板を目印に石段を上がったところに札所3番の続燈庵がある。
石段の横には「寺用の方以外はお断り」の掲示があるが、「百観音巡りは大丈夫だろう」と思って石段を上がる。本堂のガラス戸が開いていて観音さまを拝めたので、外から読経して本堂の玄関で来意を告げても、人の気配がしない。しばらくすると、本堂奥の墓地などがあるところから「お参りですか?」と作業服姿の男性がこちらに声を掛けてくれる。その方が御住職だった。

本堂に上がってお参りしてほしいとのことで、御住職の仕事を止めさせて申し訳ないと思いつつ、お言葉に甘える。こちらの札所本尊は聖観世音菩薩だが、童女のような可愛らしい表情をしている。南北朝時代の作とのことで、このお寺が関東大震災の被害にあった際に、法類(お寺の親戚関係のようなもの)に当たる札所7番の東慶寺から奉安されたものと御住職は説明してくださった。

百観音霊場を知ったきっかけなど、いろいろと話が弾む。こちらの御住職、龍興寺の御住職とも親しいようである。何としても結願しなければと気が引き締まる。
(続燈庵 神奈川県鎌倉市山ノ内431)

長くなるので続きは別記事で。

円覚寺百観音めぐり(2)

お出かけ 円覚寺百観音 御朱印 日記 観音霊場 霊場巡礼

空模様が怪しいが、近所の「大本山円覚寺百観音霊場」巡りに出掛けてきた。

 

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札所39番 常楽山養竹院

わが家からは荒川を渡って車で30分ほどの、札所39番の養竹院さんから回る。参道の入り口が県道に面していないため、ちょっと迷うw

山門の脇にひなびた観音堂があって、そちらに「大本山円覚寺百観音霊場三十九番札所」の扁額が掛かる。札所本尊は千手観世音菩薩。
観音堂でお参りして読経してから農家然とした本堂へお参りに伺うと、ご住職の奥様が出てこられ、「○○(管理人の苗字)さんですか?」と聞かれる。「龍興寺さんから電話がありましたから」とのことで、心配りに感謝。お話好きな奥様で、昔話やら霊場巡礼のことやら、いろいろと話が尽きない。札所本尊の千手観世音菩薩は地域で「子安観音」と呼ばれていて、安産に霊験あらたかなのだとか。「あなたはもうお子さんいらっしゃるの?」と聞かれたので「いえいえ、相手がおりませんで…」と答え、二人で呵呵大笑www
このお寺は太田道灌の子資家が父を供養するために開基したとされ、境内には「太田道灌の陣屋跡」の石碑がある。昔は隣接する八幡神社を含め境内地は広大だったそうだが、農地改革などで今のような姿になったのだとか。

縁側に持ってきて下さった朱印を納める箱の中に「中武蔵三十二番札所」という印があったので尋ねると、この地域のお薬師様の巡礼路とのこと。来年の寅年が御開帳だそうで、ちょっと楽しみだ。鬼に笑われそうだがw
山門の脇には、「中武蔵札所」であることを示す新しい石碑も建っている。
(養竹院 埼玉県川島町表9)
養竹院の地図はこちら

 

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札所38番 大龍山清河寺

札所39番から再び荒川を渡り、札所38番の清河寺(せいがんじ)さんへ。ここも県道からの入り口が分かりにくく、ちょっと迷う。やっぱり車にナビをつけないとダメか…www

本堂や庫裏を建て直して間もないようで、木の香りがしてきそうな感じだ。足利一族との関係が深い古刹で、札所本尊は千手観世音菩薩。山門を入って左側にある「慈水堂」と名付けられた観音堂の中にお祀りされている。

路地から100メートルほどの参道の両側には、見事な梅の並木。いい香りが漂っていた。簡素ながら美しい、いかにも臨済宗という感じのお寺だ。
(清河寺 さいたま市西区清河寺792)
※清河寺の地図はこちら

 

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札所41番 寶王山少林寺

札所38番から国道17号を北上し、上尾卸売市場がある交差点を右折して、札所41番の少林寺さんへ向かう。

上尾市の文化財に指定されている朱塗りの山門の脇に、百観音霊場の幟が立っている。1288年開基の古刹で、本尊は聖観世音菩薩。
このお寺のある一帯は西門前という地籍なのだが、その「門前」とはこの少林寺門前のことを指している。昔は相当大きなお寺だったようだ。境内では四季の草花が楽しめるが、その美しさも伝統のなせる技か。本堂にはおびんずる様も安置されている。

お寺から頂いた略縁起の末尾に、大本山円覚寺百観音と並んで「足立新秩父34ヶ所第十二番札所」の文字があった。ご住職に伺うと、江戸時代に始まった秩父札所の「うつし霊場」で、現在では廃寺になっている札所もあって、全部回るのは難しいのでは…とのこと。午年ごとの総開帳の連絡も30年以上絶えているそうで、「音頭取りをする人がいなくなっているのだろうなあ。うちのお寺の御詠歌もあるのですが」と、残念そうなご様子だった。
(少林寺 埼玉県上尾市西門前399)
※少林寺の地図はこちら

 

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札所40番 瑞露山密厳院

上尾市の西北部、歩いて数分で桶川市という場所にある札所40番の密厳院(みつごんいん)さんを訪ねる。

このお寺、実は先週も一度訪れている。その時はデジカメを家に置いてきてしまったのと、無住のようで納経先などが分からず、龍興寺さんで教えて頂いて改めて出直した次第。札所本尊は如意輪観世音菩薩。山門に百観音霊場の扁額が掛かる。養竹院と同様、太田家との所縁が深いお寺という。境内には新しい六地蔵と並び、古びた「馬頭観世音」の石碑が建つ。お堂の横に妙な空間があるのは、馬頭観世音を祀っていたことの名残か。

密厳院は、桶川市の知足院を札所1番とする坂東札所のうつし霊場、足立坂東(北足立)三十三観音の20番札所でもある。別のお寺で聞いた話では、足立坂東三十三観音は午年ごとの総開帳の伝統は守られているようだ。百観音の納経は、養竹院で受けて頂ける。
(密厳院 上尾市藤波2-196)
※密厳院の地図はこちら

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先日書き漏らしてしまったが、円覚寺百観音の大半の札所は、通常の檀家寺。この点は江戸三十三観音も同じなのだが、こちらはまだまだ巡礼者が少ないし、事前にお寺にお参りの日時を連絡しておいた方が良い。ご住職が不在の場合は納経が受けられないお寺もある。

円覚寺百観音霊場めぐり(1)

お出かけ 円覚寺百観音 寺社巡礼 御朱印 観音霊場 霊場巡礼

臨済宗円覚寺派が開創した、「大本山円覚寺百観音霊場」を回り始めた。

この霊場を知ったのは、本当にひょんなきっかけ。隣町の巨大ショッピングセンターに買い物に行こうと車を走らせていたら、たまたま前を通ったお寺さんの前に、「観音霊場」と書かれた青い幟が掲げられているのが見えた。この辺りは江戸時代の開創とされる「忍領西国霊場」「忍秩父三十四札所」などの巡礼が盛んだった土地柄なのでその類かと思い車を路肩に寄せて幟をよく見ると「臨済宗円覚寺派百観音霊場」と書いてある。

たまたま、ご住職夫妻が生け垣に水を撒かれていたので声を掛けると「臨済宗円覚寺派でつくった観音霊場です。資料があるのでお暇なときに寄ってください」とのことだった。

後日、改めてこの龍興寺さんを訪ね、ご住職夫妻から回り方などを伺う。先に伺った通り、臨済宗円覚寺派のお寺だけで構成する観音霊場で、札所1番は大本山円覚寺の聖観世音菩薩、結願札所はやはり円覚寺の百観音で、現在は神奈川、埼玉、静岡、栃木、群馬、新潟の各県に札所が点在しているようだ。札所になっているお寺で専用の納経帳を受けて回る決まりという。唱えるお経は般若心経で良いそうだ。興味がわいたので、納経帳を受けてお参りすることにした。

 

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札所43番 大光山龍興寺

本来ならば鎌倉にある札所1番の円覚寺から回らなければいけないのだろうが、この霊場の存在を知ったきっかけから、わが家最寄りの札所43番、龍興寺さんを発願札所に定める。

このお寺は騎西町上崎地籍だが鴻巣市との市町境に近く、公共の交通機関で行く場合はJR高崎線の鴻巣駅を使った方が便利で、市町境の近くまではコミュニティバスもある。お寺の本尊は釈迦如来で、札所本尊は千手観世音菩薩。

境内はいかにも臨済宗らしい枯山水の趣で、簡素な中にも清々しさが漂う。本堂のそばにある法話の掲示板はご住職の直筆のようで、話題の選び方や話の中身が身近で分かりやすい。このお寺は足利氏との関係が深かったようで、境内に足利持氏、春王、安王の供養塔がある。境内が広く感じるのもそれ故か。

ご住職は元気で人当たりがよく、法話も上手そうにお見受けした。県内の守り本尊霊場を回っていることを話し、私が午年であることを言うと、「同じだね」とにっこり笑われた。この霊場の回り方についてもアドバイスを受けた。「札所巡りをしているとどうしても欲が出て、一日に多くのお寺を回ろうとしがちだが、それではいけない。お参りには時間が掛かるものだし、欲を出してはいけない。1日に5つのお寺を回ろうとして、実際には4つ回るくらいのつもりでちょうど良い」「札所を回ろうと発願する、その気持ちこそが大切」とご住職はおっしゃる。行田霊場や江戸三十三観音を回った経験からご住職のアドバイスは頷けるものばかりで、この霊場巡りからはゆっくり回ろうと心に誓う。
次に回るお寺が無住のような気がしたので尋ねたら納経所になっているお寺を教えていただき、わざわざ電話連絡までして頂いた。ただただ感謝。

何せ広いエリアの霊場、結願を急がずのんびり回ろうと思う。
(龍興寺 埼玉県北埼玉郡騎西町上崎1890)
※龍興寺の地図はこちら