足立坂東観音めぐり(2)

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5日の日曜日は、足立坂東観音霊場の御開帳の初日。この日は、見沼田んぼ周辺のお札所を中心に回る。

この辺りは公共交通が不便で、あったとしてもJRや地下鉄(埼玉高速鉄道)の駅に向かうものが大半。観音さま巡礼に使えるものではなく、今回は車を使って回る。また、限られた時間で効率よく回るため、巡礼コースはできるだけ一筆書きになるように組んだ。そのため、札所番号順になっていないことをお断りしておく。

 

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札所3番 富岡山瑞岸寺

さすがに日曜日の朝は道が空いている。裏道を使わずに国道17号を南下してJR浦和駅に近い札所3番の瑞岸寺に向かうが、家を出てからちょうど1時間で着いた。

瑞岸寺は、「本太観音堂」の通称で知られる天台宗のお堂で、本尊は聖観世音菩薩。現在は無住で、近くにある延命寺の境外仏堂扱いのようだ。周囲の掲示物もすべて延命寺名義である。

こちらの本尊は、さいたま市の指定有形文化財になっている。総高65.7センチの玉眼入り寄木造で、南北朝時代の作とされる。また、1840(天保11)年のものなど3枚の連経講(観音講)絵馬も、同様に文化財指定されている。

残念だったのは、瑞岸寺は今回の中開帳を「辞退」していることだ。御朱印の対応もなし。従って境内には回向柱や善の綱もないし、御開帳を知らせるポスターさえ見当たらない。本堂の扉は固く閉ざされていて、お賽銭を入れるようにガラスを切ってある所から中を覗くと、お堂の内部は前回2002年の総開帳の時のままのようで、御詠歌を書いた紙が、やや変色した状態で張られていた。燭台には途中で消された蝋燭が付いたままになっている。扁額の隅に小さく書かれた「足立坂東三番」の文字だけが、ここが観音札所であることを示している。

ある札所で、3番の開帳辞退について「高齢化で堂守の人手のやりくりがつかなかったようだ」とも聞いたが、瑞岸寺は浦和周辺に住む人にとって足立坂東の第一印象になる札所である。何より、御開帳は干支が一回りする間に2回しかない、観音さまとご縁を結ぶ貴重な機会。堂守の人手のやりくりがつかなかったのが事実としても、お別当の延命寺では御開帳終了の翌日にジャズ奏者の坂田明氏らを招いて盛大に花祭りの法要を行うのだから、書き置き朱印やごく限られた時間などの開帳など、違った対応ができたのではないかと残念でならない。
ボランティア的な観音講を作って、そちらが対応するわけにはいかないか。私は喜んで参加する。

【御詠歌】うへてみよ とみをかやまのふじがえも
                                             はなのうてなは むらさきのくも

(2009年4月5日巡礼=さいたま市浦和区本太2-23-5)
※瑞岸寺の地図はこちら

 

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札所5番 馬場観音堂

気を取り直して、札所5番の馬場観音堂に向けて車のハンドルを握る。駒場スタジアムの近くを通って、札所3番からは車で15分ほどか。区画整理が進んだ、住宅と農地が混在する一角にある。

馬場観音堂は、「三室堂」の通称で親しまれるお堂。一応天台宗に属しているが、実質は地区で管理する集会所兼用のお堂で、本尊の聖観世音菩薩はその一角に祀られている。

お伺いすると、別当寺の御住職による開帳法要がちょうど終わったところで、地区の方々と御住職が一緒になって内部の飾り付けを直されていた。前回の御開帳から7年が経つわけで、当時の記憶が薄れてしまっていてもやむを得まい。御朱印は私が第1号のようで、「やり方を教えてほしい」と言われ、御住職に確認しながら墨書のゴム印と札所番号の朱印を押す。本来あるはずの「御宝印」が見当たらず、菱形の札所番号印を中央に押す。以前、火災に遭った時に焼けてしまい、その後は御宝印を作らなかったらしい。

【御詠歌】こよいしも しんによのつきを みむろどう
                                                               くもゝさはりも はらふあきかぜ

(2009年4月5日巡礼=さいたま市緑区馬場2-38-3)
※馬場観音堂の地図はこちら

 

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札所4番 太田窪山普門寺

馬場観音堂から南に下り、札所4番の普門寺に向かう。浦和競馬場の真裏にあたる奥まった場所にあるが、見当をつけて適当に街道から路地に入ると、程なく札所への道案内があった。私のような余所者の巡礼者にとって、何よりありがたいお接待である。

太田窪(だいたくぼ)山普門寺は地区で管理するお堂で、本尊は千手観世音菩薩。
こちらでは、これまでの札所で見かけなかった札所の案内図やガイドブック、御詠歌集などを扱っていた。いい機会なので、一揃い求める。特に御詠歌集は、その後の巡礼で重宝した。

御朱印を頂くとき、集印帳をどこで求めたか尋ねられる。今回も例によって鳩居堂で求めた品を使っているのでその旨伝えると、「やはりあそこしかないんですかね」という言葉が返ってきた。無地の朱印帳で片面だけで三十三観音の集印ができる品、私が知る限り都内で扱うのは鳩居堂の限られた一部の店だけのはず。できればお札元で専用の品を授与していただけるとありがたいのだが…。

【御詠歌】なでしこの ながめにあかぬ だいたくぼ
       しめじがはらを めぐむちゝはゝ

(2009年4月5日巡礼=さいたま市南区太田窪4-9-10)
※普門寺の地図はこちら

 

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札所8番 福聚院

普門寺からさらに南に下り、8番札所の福聚院に向かう。こちらも地区で管理する集会所兼用のお堂で、本尊は正観世音菩薩。

福聚院は、馬場観音と比べるといくらかお堂らしい外観。内部は集会所としての使用を中心に考えて作られているようで、一番奥まった場所に観音さまが祀られている。こちらの札所ではお姿を頂くことができる。

【御詠歌】うどんげの みのりにいまぞ をゝやぐち
            ゆうもおろかや だいじだいひを

(2009年4月5日巡礼=さいたま市南区大谷口2295-1)
※福聚院の地図はこちら

 

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札所7番 観音院

札所7番の観音院は川口市の柳崎地籍になるが、福聚院からは車ですぐだ。

こちらは天台宗のお寺で、本尊は正観世音菩薩。入り口には「子安観世音霊場」の大きな看板が掛かる。安産や子育てに御利益のある観音さまのようである。周辺に植えられている桜は見事な花を咲かせている。

本堂でお勤めや御朱印を済ませると、檀家の方に階下の客殿に案内されてお接待。お漬物や茶菓でもてなして頂き、恐縮である。お勤めの時に御詠歌を唱えていたことから、「どこかの講に入っているのか」と尋ねられる。こちらのお寺は御詠歌の講が盛んで、御住職の奥様は天台宗ではかなり名を知られた、御詠歌の師範だという。客殿では江戸三十三観音など、あちこちの霊場巡りの話で盛り上がった。こういう触れ合いができるのが、ローカル霊場の醍醐味の一つ。メジャーな霊場ではなかなかこういう体験はできないはずだ。

【御詠歌】はるさめに いとくりかへす やなぎざき
        ながきめぐみを むすぶたのもし

(2009年4月5日巡礼=川口市柳崎4-11-30)
※観音院の地図はこちら

(4月5日巡礼分続く)

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