足立坂東観音めぐり(3)

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4月5日巡礼分の続き。欲を出してはいけないことは重々承知しているが、頑張って回らないと御開帳期間内に全札所を回れない(笑)。

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札所6番 慈了山清泰寺

東浦和駅前を経由して、JR武蔵野線の北側にある札所6番の清泰寺へ。 何かイベントがあるらしく、駅周辺は結構な交通渋滞で、ちょっと焦る。

清泰寺は天台宗のお寺で、本尊は正観世音菩薩。区画整理が進んだ住宅街の一角にあって、境内はなかなかの広さ。葬儀などに使われるらしいモダンなホールと、いかにも田舎のお寺らしい佇まいの本堂の対比が面白い。
本堂では、まだ30代とお見受けした若い御住職と檀家の方が一緒になって、巡礼者への対応やお接待に当たっていた。ここでも、あちこちの札所巡りの話で盛り上がる。都内霊場のお札所でオフィスビル化が進んでいること、御住職は「昼間の人口がほとんどいない地域で、寺を維持するにはやむを得ないのでは」と話しておられた。確かに都心部では檀家は減る一方だろうし、墓地の増設もままならない。「限界集落」は山間部や離島に限った話ではないことを改めて実感する。

お昼はたまたま見つけた、近くの「カフェレノン」という店で取る。ジョン・レノンのグッズがいっぱいのお店で、ファンにはたまらないお店だろう。700円のブランチセットは、喫茶店とは思えないボリュームで、お勧め。

【御詠歌】てるつきに さゞなみきよく たいらかに
                       うろくずまでも うかぶみずうみ

(2009年4月5日巡礼=さいたま市緑区東浦和5-18-9)
※清泰寺の地図はこちら

 

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番外札所 八丁観音寺

番外札所の八丁観音寺は、清泰寺から車で数分の距離。
見沼田んぼに半島のように突き出した微高地の上にあり、前を通る県道は乗用車同士のすれ違いにも気を使う狭さ。おまけにこの日はJR東日本主催の「駅からハイキング」が周辺で行われていて、車を止める場所を探すのに一苦労。お札所から300メートル近く離れた場所に駐車余地を見つけ、駐車禁止のステッカーを張られぬように走ってお札所まで移動する(笑)。

お札所の名前は「八丁観音寺」だが、実質的には地区の集会所兼用のお堂。その内部に本尊の聖観世音菩薩が祀られている。
お堂の中では、地区の女性らが御詠歌のおさらいの真っ最中。その手を休めてお接待をしてくださり、何か申し訳ない気分。その女性、「もう足腰がしんどくなる歳なのに、初めて御詠歌を教わっているの」と屈託ない笑顔で教えてくれる。観音さまを祀る祭壇に掛けられている布は、あの「ミッフィー」柄のもの。平成14年と書かれていたから、前回総開帳の時に作られたものか。元気な女性や可愛いウサギ柄の飾りに囲まれて、観音さまも楽しそうである。

JRのハイキング参加者で、興味深そうに御開帳の様子を眺める人が結構いる。ほかのお札所にもお参りしてくれれば良いのだが。

【御詠歌】まつのこと たきのつゞみは あふまぎの
                           もりはさながら ふだらくのみね

(2009年4月5日巡礼=さいたま市緑区大間木1907)
※八丁観音堂の地図はこちら

 

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札所31番 木揃堂

見沼田んぼの縁を南に下り、札所31番の木揃(きぞろ)堂へ。再び川口市地籍になるが、この辺りは行政界が複雑に入り組んでいて、道を誤りやすい。「五軒茶屋」という飲み屋が札所への目印になる。

木揃堂はその地籍から「木曽呂堂」と書かれることもある、地区管理のお堂。札元発行のパンフレットだと真言宗豊山派とあるが、これはお別当の寺院のことだろう。本尊は十一面観世音菩薩。
お堂の大きさは、足立坂東のお札所の中では一番小さいだろう。地区のお年寄り3人が堂守をされていたが、その中に入って私がお勤めをすると、内部はもう狭く感じる。

こちらの観音さまは、総高60~70センチはあろうかという、結構な大きさ。お勤めを終えて御朱印を頂く時、堂守の方が問わず語りに「お堂と観音さまの釣り合いが取れていないとよく言われる」と話すので、「浅草の観音さまの絶対秘仏の御本尊は高さ1寸8分(約5センチ)だし、お堂や観音さまの大きさと御利益は関係ないと思いますよ」と答えると、堂守さんは大きく頷かれて観音さまの縁起を話してくださった。何でも、お札所の本尊の観音さまは地区の氏神だった氷川神社(現在は別の神社に合祀)に祀られていたもので、明治維新のときの廃仏毀釈の波をかいくぐり、このお堂に安置されるようになったものという。堂々たるお姿も、かつて氷川社に祀られていたと聞けば納得。立派な観音さまをわずか数十センチの距離で心行くまで眺められるのは、ローカル霊場巡礼の大きな醍醐味だ。
「いつまでも観音さまを大切にしてください。次の総開帳(2014年)にも必ずお参りさせてもらいます」と再訪を誓い、札所を後にする。

【御詠歌】かをりくる はなのきぞろの しづかぜに
                     ふりしくにはの じょうどなるらん

(2009年4月5日巡礼=川口市木曽呂269)
※木揃堂の地図はこちら

 

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札所30番 長久山真乗院真福寺

木揃堂からさらに車を南に進め、札所30番の真乗院へ向かう。

こちらは真言宗智山派のお寺で、札所本尊は聖観世音菩薩(お寺の本尊は不動明王)。すぐそばには東京外環自動車道が通っているが、鬱蒼とした境内は静かそのもの。

広い本堂の右側に観音さまが祀られていて、その前でお勤め。
こちらでは御住職が自ら納経などの対応などをして下さった。本尊の観音さまは行基作と伝えられる。本堂の前にそびえ立つ高さ18メートルの立派なコウヤマキとともに、このお寺の伝統を物語る。

【御詠歌】われながら をもくおぼゆる つみとがを
                              のりのちからに かろきいしがみ

(2009年4月5日巡礼=川口市石神1253)
※真乗院の地図はこちら

 

(2009年4月5日巡礼分続く)

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